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壊れちゃった偉大な人たちをどうするか

声に出せない悲鳴に耳を傾けなさい

ボクはエロゲ業界長いくせに、エロゲ業界の有名人に知り合いは少ないんだけれども、それでもチラホラとお世話になっている方々はいて、何かと相手にしてもらっている。で、そういう方たちの中でけっこう精神的に病んでいる方もいて、本調子が出せずにユーザの期待を裏切り続けてしまっている方もおられる。
ユーザはそういう人たちのかつての栄光を知っているので、そのときのクオリティの作品を期待しているのだけれど、それを果たすのはなかなか難しい。
というのもそういうかつて偉大だったクリエイターは、大概成功時期に独立して自分の城(会社なりプロダクション──個人事業主──なり)を作ってしまうのだが、そこで大きなしがらみが出来てしまう。経営する能力とクリエイターの能力は違うとか、まぁそういう一般論はさておき、往々にして作品制作に専念できなかったり、守るべきもの(社員や会社そのもの)が増えて、自分のペース以上に作品を作り続けなければいけなかったり、そもそも頂点に達してしまって満足してしまい、制作意欲が低下してしまったり……などなど、理由は人それぞれなんだけど、なんだかんだとぐだぐだしているウチに時代も変わり、自分の作るものも売れなくなり、それでいて城は存続させなければならず、ユーザには「アイツどうした」呼ばわりされ、さらには社員などにも次第に嫌われたりなどし(求心力の低下、給料の遅配の発生など)、本人の心をどんどんとむしばんでいく。それでも城は存続し続けなければならないので、ムリヤリにでも仕事をしていなければならない*1

まぁ、そういうスパイラルに陥って、最終的に壊れちゃう偉大なクリエイターが多い。いわゆる鬱であるとか統合失調症であるとかそのたぐいの脳の病気になってしまうわけだ。

で、これをどう回復させるか?
ボクは専門家じゃないので解らないが、一つはその人の重荷になっていることを全て取り除き、クリエイターそのものをしなくて済むようにさせる、もしくはリスタートさせることなんだけれど、これが非常に難しい。大概このような状態に陥ると、城(つまり会社や個人経営など)は債務超過に陥っている場合も多く、その代表であるクリエイターは何らかの商業活動を続けなければならないからだ。
どこかの誰かが気前よく「10 億やるから自分の城のことなど忘れてどこかに行ってこい」とその人を全ての重荷から解放させてあげれば良いのだろうけど、そんな人(法人)はなく、クリエイター本人が何とかしなければ、この壊れた状態からは抜け出せない。

が、そんな状態をクリエイターが独りで抜け出すなど、まず無理だとボクは思っている。
そしてこのような問題は業界全体で取り組んでいかなければならない問題なのだ。もしそのクリエイターが業界にとって大事な存在であるなら、業界全体でその人を救い、新たな偉大な作品を作ってもらうために過去を綺麗さっぱりなくしてあげるべきだし、もう時代じゃない、付き合いきれないと判断するなら、丁寧にリタイアする道を用意してあげるべきなのだ。でなければユーザはいつまでもその人の最高クオリティの作品を待ち続け、それが出るまでそのクリエイターを罵倒し続けるし、クリエイター自身は負債を増やし続け、さらに精神を病み……そして最終的にそこに待っているのは、死なのである。それは本人にとっても、業界にとっても、お金を貸している人(法人)にとっても、そしてユーザにとっても不幸な結末でしかないのだ。ただ、本人にとっては、それこそが真の全てからの解放なのかもしれない……。

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  • 難しい問題ですよね; ゲーム業界の中でもエロゲ業界は作品が小規模故に、個人に掛かる負担・プレッシャーも大きく、そうした状態(鬱・統合失調症)になり易いのは見て感じました。キチンとした会社でクリエイターとして作品を制作、他の部分こそ会社が抱えられれば精神的にも大きな負担軽減になるんでしょうが、会社と自身の益を比較したり、作品の方向性で衝突するクリエイターが多いのも事実です(特に作品を左右する原画家さんに多いと思いました;)。
    業界はもちろんですが、クリエイターも個人個人がもう少し大人になれれば変わっていきそうなんですけどね…。 -- 阿修羅? 2012-01-03 (火) 01:36:45
  • 既に亡くなった方ではありますが、先日亡くなられた菅野ひろゆきさんも同じグループに入るのでしょうか?才が尽きたのか、それとも時代が彼を必要としなくなったのか、晩年の彼のくすぶりようは往年のファンもがっかりするレベルでした。クリエイターが思う存分才を発揮できる場所を作ること、これはモノづくりの業界の共通した難しいテーマかもしれませんね。 -- 2012-01-03 (火) 03:26:47
  • 阿修羅さん
    後の日記で触れようと思うのですが、ちょっと売れると流通なんかが引き抜いて独立させようとすると言うのも問題ですね。本当はその会社にいて経営など後方支援をしてもらったうえでじっくりとゲームを作ればいいのですが、クリエイター自身も自分で自由にやれると思い込んでついつい独立してしまうのですよね。それともう一つは、大人になれないからこの業界に来るのだというジレンマもあります(ぁ。もちろんボクも人のことは言えません (^^;
    名無しさん
    彼がどんな人であろうとも、ボク自身は彼についてどうこう語れる資格はありませんので、なんとなく察していただければ幸いです。 -- たまきん 2012-01-03 (火) 16:16:38

    #article


*1 これは業界そのものの収益構造にも問題がある。出版業界のような印税的なものがないことや、一つのプロダクトにかかる金額が比較的多いなど、一回馬鹿売れしたらあとは一生暮らしていけるというようなことがエロゲでは難しい。

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Last-modified: Tue, 03 Jan 2012 16:16:39 JST (4489d)