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映画やアニメにできてエロゲでできないこと

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例えば主人公の家に幼馴染みが居候する話だとしよう。その幼馴染みは小さい頃は近くに住んでいたが、小学校に上がるときに外国に引っ越してしまった。そして高校生になったある日、幼馴染みの父親が仕事で日本に来ることになり、それに着いて来たという設定だ。
主人公は小さい頃の幼馴染みの姿は知っているが、現在の幼馴染みの姿は解らない。

幼馴染みが来る日、主人公は学校に行かねばならず、とりあえず書き置きを玄関に張って、家を出てバス亭へ。そのバス停にはすでにその幼馴染みがいるんだけど、主人公は気付かずにバスに乗ってしまう。もちろん幼馴染みも主人公には気付かなかった。

とまぁ、こんな出だしだとする。
これをエロゲでやろうとするとバス停に来た所で、幼馴染みのバストショット画像が出ることになる。もちろん会話はないが、主人公のモノローグが入ることになるだろう。この段階でユーザはこの幼馴染みが何らかのキー・キャラクタであることに気付いてしまう。
そもそもバストショットが用意されていると言うことは、シナリオ上、頻繁に登場するキャラクタであるわけで、一介の通行人なんかにバストショットは用意しない。

ところがこれが映画やアニメだったら、普通にバス停でその幼馴染みとすれ違うシーンがあればそれでいい。主人公は別に幼馴染みに目を止めないし、本当に単純にすれ違うだけである。自然とシーンを構成することができる上に、受け手は、「あ、そこに幼馴染みいるじゃん」と解る。いちいち主人公が幼馴染みに目を止めて何かモノローグを入れる必要もないし、バストショット表示という「ただのバス停なのに、特別な処理がある」ことをユーザに認識されない。

他にもキャラクタの性格を表すときに、「動作」というのが意外に重要だったりする。
相手を怒るときは必ず腕を組む、太陽を見たらクシャミをする、鼻の頭をこするクセがある、爪を噛むクセがある……etc、etc。宮崎駿なんかはそのキャラの動きだけで、そのキャラクタがどういう性格なのかが解ったりして、実はいろいろすごいのである。

何が言いたいかというと、エロゲ、特に紙芝居形式のものは「文章に頼りすぎている」ということなのだ。ほんの一つの動作や象徴するような絵を挿入するだけで、実は長い時間かけて説明するようなことが一瞬で説明できたりするのに、長々と主人公が説明したりどしたりしてしまうのだ。
ただこの習慣はエルフ時代から続いており、蛭田さんの時代からのエロゲの伝統とも言える。
せっかく絵や動画が表示できるのだから、文章で何もかも説明せずに、絵を有効的に使ってやれることってまだまだたくさんあるんだよねー。
かくいうボクも、映像畑の人間ではないので、つい文章ですべてを表現しがちだ。絵描きからしたら、そんなもんこの絵を一つ置いておけばええやん、って指摘をよく受ける。

こうやって振り返ってみると、エロゲーってけっこうシナリオ・ライターの文化なのかもしれないなと、ボクは思っている。いや、出発点がそうだったと言えるのかな。そしてみんなそれをプレイして育って来ちゃったから、今でもそのまんま、みたいな?
絵を描く方もその文化を受け入れちゃっているというか、慣らされちゃっているというか、そんな気がするんだよね。

ただ、この状況を打ち破る要素ってのが少しずつ出てきていて、それはまぁもちろん PC の能力が上がったことによって、表現力も上がったことが大きいんだけど、それ以外にビスタサイズが関係してくるんじゃないかなぁって思っている。
いままでエロゲは 4:3 で作っていた。これはやってみると解るんだけど、4:3 ってのは裸を載せるにはなかなか優秀な画面比で、画面全体を肌で埋め尽くすことができる。もっともちゃんと研究したことはないんだけど、1:1 が一番良いのかなぁなんて思ったりはしているんだけどね。
でもテレビ界でハイデフが標準になるのに合わせて、PC のディスプレイも 16:9 が主流になってきた。すると 16:9 では意外に裸で画面を埋め尽くすのが難しくなってくるのだ。これもやってみれば解る。16:9 のエッチな絵コンテって意外に難しいのだ。
余白がどうしてもできてしまうのだ。
そうなるとどうしても表現方法を変えなければならなくなってくる。今まで効果背景で済んでいたのが、ちゃんと背景も描かないといけないとか、パースを使った絵作りをするとか、色々。その試行錯誤が上記で言ったような「文章に頼った表現」を変えていくんじゃないかなぁって思っているんだけど、どうだろう。


さて、今日紹介する一枚は、アメリカはテキサスのロックバンド、ZZ Top。これも夏聞くにはもってこいの、ギラギラするロックですな。テンポはどちらかというとゆっくり目なんだけど、ギラギラした太陽の下で聞くと自分がテキサスの砂漠にでもいるような錯覚を覚えること間違いなし(テキサスに砂漠があるのかどうか、知らない<ヲイ)。

  • エロゲも16:9の時代ですかぁ・・・。
    映像の力が強いエロゲというのも新時代のエロゲとしてアリと思いますけど
    家ゲーがハード能力の劇的改善によって開発費がアホほど
    上がっていったように、エロゲも開発費だけが上がって・・・
    という構図だけは避けたいですよね。

    映像分野で頑張っているエロゲメーカーはイ○ュージョン
    くらいじゃないですかね。 -- 葉月光剣? 2010-07-10 (土) 11:40:11
  • コストアップになるかどうかは、作り方次第だと思います。むしろアイデアが重要なんじゃないかと思います。ただボクとしてはイリュージョンさんはやっぱり羨ましいですね。バストショットをそのまま押し倒せる、スカートをめくれる、抱き寄せられる。これはいつかやりたいです。最終的にはすべてリアルタイムで、トゥームレイダースみたいな感じで、自由に動き回れるような「アドベンチャー・ゲーム」を作りたいですねー。って、上とはずいぶんかけ離れた話になってしまいましたね……すみません。 -- たまきん 2010-07-11 (日) 03:45:23
  • 幼馴染とすれ違っただけじゃ観客は後から「あ、さっきの幼馴染じゃん!」と気付けずスルーするだろうし、かと言って何か余計な描写があればやはり気付いてしまう…難しいとこだよ -- 2010-07-11 (日) 12:21:43
  • 最初のこれをエロゲでやろうとすると云々の部分ですが
    その表現ならモノローグは書置きを置いて家を出るまでの部分にあればいいのでは。
    バストショットが出て~とありますが、それもモブにまぎれて幼馴染がいるバス停という背景一つ用意することで解決します。これを背景にバスに乗るシーンを描けばいいだけです。
    「主人公が気付いていない」ならバストショットが出るのは不自然だと思います。 -- 2010-07-11 (日) 16:54:25
  • >エロゲ、特に紙芝居形式のものは「文章に頼りすぎている」
    だからエロゲ出身の脚本家がアニメの脚本を書くと
    世界観・設定の「説明」のしかたが下手で視聴者にわかりにくくなってしまうんですね。 -- 2010-07-11 (日) 21:24:04
  • 書き込みありがとうございます。日記の話は「幼馴染みとのバス停でのすれ違い」が、シナリオ上どのくらい重要なのかに触れられてないので、結局解釈が様々になってしまいましたね(汗)。例えば映画やアニメでも二度目見るといろいろ気付くことがあると思います。「あぁ、あそこであの絵が出てくるのはそういうことか」的な。その程度の複線で良いのであれば、初回プレイでは受け手に気付かれなくても良いのではないかなぁとか。また、モブに紛れ込ませるのは非常に有効だと思います。でも例えばアニメだったら、地図を片手に首をかしげていたり、ウロウロしたりといったこともできたりします。そこで受け手に、ただ幼馴染みがすでに主人公の町に来ているという情報だけでなく、道に迷っていると言う情報も付加することができます(もちろんこれもモブでやれなくもないですが)。
    エロゲ、ドラマ、映画、アニメ、小説……それぞれ文章が関わりますが、それぞれに得手不得手がありますから、エロゲのライターが他分野の文章を用意するのは、やはりそれぞれの分野の特色や利点を理解した上で取り組む必要があるでしょうね。
    とまぁ、こんな感じで! -- たまきん 2010-07-12 (月) 04:26:12
  • 通りすがりに失礼します。どこぞのメーカーで原画家やっております。
    自分も、たまきんさんと同じような命題を考えています。が、これ、アニメや実写における「演出」ポジションの不在が招いている問題だと思うんですよね。
    アニメの場合は、監督もしくは専門の演出家が演出を行っていますが、エロゲの場合、ディレクターやシナリオライターは映像演出の勉強をしてないので、こういう問題が浮上してくるのだと。
    そもそも専門学校では演出術を教えていないみたいですしね(知人ソース)
    演出というポジションをきちんと定めているエロゲメーカーは、自分の知る限りタイプ●ーンさんだけなので、業界がこの問題を認識するのはまだ先の話になりそうですね。 -- ミコッテスト? 2010-10-06 (水) 23:46:47
  • ご指摘の通り、「選出」を学ぶ機会がライターやスクリプタにはないですね。あとはコスト的に「演出」というポジションを用意することが出来ないというのもあります。演出は今後、より大きな課題になっていくのではないかなと思っています。 -- たまきん 2010-10-07 (木) 12:22:16

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Last-modified: Thu, 07 Oct 2010 12:22:16 JST (2366d)