Top > Diary > 2009-09-16

魔法使いの憂鬱

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今書いているシナリオには「魔法」が出てくる(前回の日記)。
今回も、出来る限り D&D の魔法戦闘を自分で消化して表現しているのだが、やっぱり魔法使いは弱いわ(笑)。シナリオ書いてて、困ってしまった。
魔法を使うには「詠唱」が必要とされるものが多い。
D&D では魔法によって、詠唱の時間が決まっている。
そして、今回もっとも気を配ったのが、マジック・コンポーネントだ。魔法は詠唱と精神力(MP)だけで実現できるわけではない。様々な触媒や素材が必要だ。いわゆるイモリの尻尾とか、処女の生き血とか、その手の類のものである。これを忠実に再現しようとすると、戦闘中に魔法を使うのがいかに大変かがよく解る。
やはり、魔法使いというものは、塔や城にこもって謀略に明け暮れる事こそが本分なのだ。

たとえば戦闘中にファイア・ボールの呪文を唱えるとする。
D&D の 3rd では 1 ラウンド 6 秒であり、ファイア・ボールは 1 アクションで呪文が完了するらしい。1 アクションは 5 フィート(1.5m)以内の移動も許されるので、2 歩か 1 跳躍程度の移動時間を考えると(つまり撃つ位置の微調整などである)、3 ~ 4 秒の詠唱でファイア・ボールの呪文は完成し、飛んでいく事になる。
しかしその間に、触媒である硫黄とコウモリの糞を取り出し、それを使いながら呪文を完成させるのはかなり至難の業と思われる。これができるようになるには、術者はかなり戦闘を経験しなければいけないだろう。
さらに、6 秒あれば全速力で敵は 60 フィート(18m) 移動できる(軽装備の人間の場合)。全速力でこちらに向かって来る敵の恐怖に耐えながら、呪文を唱え続けられる人間がどれほどいるか? やはり魔法使いの前には、壁となるべき戦士の存在が必要である。
また 18m も移動されては、ファイア・ボールの爆心地も疾うに過ぎてしまう。戦士やアーチャーは、敵の動きを固定する必要も出てくるわけである(もっとも、仲間の戦士と敵が接敵している状態で、ファイア・ボールを撃つヤツはいないと思うがw)。

そんなわけで、乱戦になればなるほど魔法使いというのは使い物にならない。
というか、しっかりと魔法使い以外の仲間のサポートがなければ、魔法使いは何も出来ないに等しい。しかも今回は現代なので、強力な飛び道具が存在してしまう。「銃」である。呪文詠唱が終わる前に、蜂の巣にされちゃうのよね(笑)。

そこで今回は「戦闘が始まる前に、どれだけ準備ができているか」が肝になる。つまり、どのような戦闘が起きるかをあらかじめキャラクターがいろいろ思案し、戦闘が始まるまでにある程度呪文を唱えておくのである。
戦闘が始まったら、あとはもう前衛に任せるしかない。

あと気をつけたのが、呪文の選択。
D&D では、その日一日使うであろう呪文を、あらかじめ選択しておかなければならない。自分が使える呪文の中から、今日はどれを使うかというのを選んでおくのである。選択していない呪文は、例え自分が使える呪文でも、その日は使えない。これをリアルに再現すると、いやー、魔法使いって本当に使い物にならないね!(笑)
「今日はファイア・ボール取ってません」とか「今日は霊を見つける呪文取ってません」とか。
魔法使いは常に、今日何が起きるかを予想しながら、呪文の選択をしなければならないのだ。しかも学園モノなので、学園生活で必要な魔法ってなにってことを考えるのもこれまた面白い! D&D には攻撃だけじゃなくて、普段生活に使う呪文や補助呪文が山ほどあるので、普通に学園生活を送るだけでも呪文選びに迷ってしまうくらい面白いのだ。
で、生活に必要は呪文ばっかりとってしまい、不意打ちを食らって、何も出来なくて逃げ回ることに(笑)。

さらに気をつけたのが、マジック・ユーザ呪文とクレリック呪文の違い。
そしてどうしてマジック・ユーザがクレリック呪文を使えないのか、クレリックがマジック・ユーザ呪文を使えないのか、とかその辺もしっかりと表現してみた。ただこれは「訓練及び勉強する時間が充分にあれば」、どちらも使えるようになるというふうにはしてある。D&D で言うところのマルチ・クラスである。

まぁそんなわけで、魔法ってすごく大変! しかも触媒がわりとグロいのが多い。墓場の土とか動物の糞とか死体とか、精子とか! そんなのを常に持ち歩いているヤツってどんだけ変態なのよっていう(笑)。

とにかく世の中の作品は魔法をお気楽に使いすぎるので、今回はとことん使いにくい魔法の姿を再現してみました! そして相変わらずボクはユーザの望んでいない方、望んでいない方へシナリオを作ってしまうのだなぁ……(ぉ
そんな魔法、誰も使いたがらないもんね。まぁ、いいんです、マイノリティだから。

ちなみに世の中でメジャーになっている魔法のステッキとかの類。
あれはちゃんと D&D にも存在している(というか D&D の方が先だろうけど)。マジック・ワンドとかスタッフとかロッドと言われているものなんだけど、それらを使うとまさに魔女っ子ものが実現できる。しかもモノによっては、魔法使いじゃなくても使えるワンドやスタッフ、ロッドがあったりする。これらは触媒もいらないものが多いから、まさに漫画、アニメ向けのアイテムなんだよね。でも、残念ながらこれらは使える呪文が決まっているものが多い(魔女っ子ものとかでもそうなっている気がする)。様々な呪文の効能を鑑みて、どれだけ効果的に魔法を使うかっていう要素が結構欠落しちゃうので、今回は登場させていない。

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Last-modified: Fri, 18 Sep 2009 02:42:39 JST (5332d)