更新履歴
- 2008.01.25 資料写真へのリンクを追加。
- 2007.10.29 おまけを追加。
- 2007.09.13 関連ページに Lay=Alld 関連追加。
- 2007.09.02 BGM 元ネタ追加。とりあえず一段落。
- 2007.08.15 敗戦記念日(ぉ。とりあえず、書き始める。
関連ページ
目次
企画の発端
このゲームの発端は代々木上原にある知人の家から、代々木上原駅へ向かっている途中で見た景色が元となっている。
都心にポッカリと空いた空き地。奥には何かの資材が置いてあって、白いシートがかぶせてあった。
時期は夏だったように思うが、定かではない。
時刻は夕方。オレンジ色の光がこの空き地にも差し込んでいた。
ボクは何気なくその空き地へ目をやると、一匹の見窄らしい猫(ボクには年老いているように見えた)が資材置き場の上に箱座りしていた。そして何となく目が合ってしまったのだ。その瞬間、ボクは彼(彼女?)から何かボクらには解らない神秘的な何かを勝手に感じ取った。
この空き地そのものが、彼に守られた聖域であるかのような、そんな錯覚に陥ったのである。
音も消え、ただ彼だけがそこにいる、不思議な空間であった。
然うして生まれたのが、老猫(お師匠さん)である。
名前はない。設定上にも存在していない。それは彼が野良猫であるから。
ただそのときあった物語は、猫又である彼が孤児を育てるために自分の聖域(結界)を作った。
だが、都市計画で空き地が取り壊され、その結界が破壊されたとたん、孤児(主人公たち)が現実世界に戻されるという物語であった。
なぜ野良猫が孤児を救おうとしたのか、育てようとしたのか、それは全くもってボクも解らない。
まぁでもボクの中では、そんな話もあっていいじゃないか、と何となく思っていた。
そこへ割と萌え寄りの企画の話が舞い込んできて、さらにゲームとしてまとめるために登場人物を増やさなければならなくなり(上記の話では、猫又と孤児しかいない)、ディレクターとシナリオ・ライターとの相談もありつつ、妖怪たちが人間を育てる村というものに発展した。
これは言わずとしれた宇宙家族カールビンソン
から着想を得たものである。
かくして、いろはの企画がスタートしたのであった。時期は 2005 年の春だったように思う。
背景世界
いろはの世界は、Lay=Alld II というファンタジー世界での話となっている。
理由は結界だの妖怪だの魔法だのといった要素が絡んでくるためである。
Vein Void ではこれらの問題は取り扱いにくい*1。
モデルとなった場所
場所は北関東(群馬北部)がモデルで、野反湖
、四万
、谷川岳
のあたりを想定している。
ただダム湖のモデルはディレクター曰く群馬県南部神流湖
ということらしい。
この世界の歴史は、現実の日本といろいろと異なっているため同列に語ることはできないが、大きな違いは現在でも朝廷が政治的権力を維持し続けていることと、首都が京都であるということである(わー、ありがちだw)。
ただ本作には全く関係のない設定ではある。
神(イモータル)たちのこと
本作では二人のイモータルが出てくる。「若先生」と「彩」である。
この世界の日本では、未だに天津神と国津神の仲が悪いとされている。若先生は国津神、大国主命の息子である「建御名方富命」、「彩」は中国からやってきた強力な妖怪で、長生きをすることによってイモータル性を手に入れた。
本作での建御名方富命はすでに中央での権力争いに愛想を尽かし、気ままに生きる神として描かれている。だが中央はそれを許しておらず、また天津神側からも信じてもらえず、時々ちょっかいを出されてはまた別の場所へ逃げるということを繰り返している。
一方の彩はもともと日本の神ではないため、彼らの権力争いの蚊帳の外であったのだが、建御名方富命と一緒にいるということで国津神側についたに違いないと天津神からは思われている。そのため、これまたちょっかいを出される。
なお、作品中では主従関係として「若先生>彩」となっているが、年齢もまた持てる力もおそらく「彩>若先生」であると思われる。
種明かし
この物語は妖怪たちが陸の魂を保護し、いつか生き返らせて、一人前の神主にするという内容である。
主人公の陸は、この村で代々神官をしていた冷泉家の子供で、冷泉家はダム建設に反対していた。
しかしながら村人たちは神主の反対を押し切ってダム建設に賛成し、妖怪たちは住む場所を追われることとなった。
そんな折り、陸たち一家が事故に遭い、両親と陸は死んでしまった(妹の天音は助かった)。
ない知恵を絞った妖怪たちは、陸の魂をなんとか保護することに成功し(妖怪たちは両親の魂もとらえたかったが、おそらく両親はそれを拒否したと思われる)、老猫が結界をつくってその中で陸を育てることにした*2。
いつか陸が一人前になって神主となり、人間と妖怪が共存できる村を作ってくれることを望んでいたのである。
彩と若先生はそのお目付役のようなものである。彼らは妖怪の味方ではないが、そのやり方を見守るために結界内に存在していた。ただ若先生に限っては、投影しているようなものであって、本人が実際そこにいるわけではない。彩は若先生に頼まれて、最初は仕方なく村の面倒をみることとなった。
資料写真
いろはのために撮ってきた資料写真。
BGM 元ネタ表
音楽屋さんに発注したときの元になった曲一覧。
挿入歌とエンディングはボクが発注したわけではないので、ここにはない。
なお曲名は作曲家さんにつけていただいた。
いろはの楽曲は、歌 3 曲、BGM 19 曲からなる。
また、サントラの曲順は僭越ながらボクが決めたもので、夏(BGM01)→秋(BGM02,BGM03)→冬(BGM04)のテーマ曲とともにそれに見合った曲を間に入れ、秋で悲しい音楽の小休止的に挿入歌を入れてある。
Track | いろはの曲名 | ファイル名 | 参考にした曲 | 出展 |
01 | 憧憬 | BGM20 | 春よ、来い / 松任谷 由実 | 連続テレビ小説「春よ、来い」 |
02 | 葉鶏頭 | BGM01 | Summer / 久石 譲 | 菊次郎の夏 |
03 | 遮られない休息 | BGM07 | ブック村 / Falcom JDK | 日本ファルコム「ZWEI!!」 |
04 | イロハニコンペイト | BGM06 | タチコマの家出 / 菅野 よう子 | Be Human 攻殻機動隊[Stand Alone Complex] |
05 | 鈴虫 | BGM02 | SILVER MOON / 恩田 直幸 | 夢 DREAM |
06 | 挽歌 | BGM10 | パリは燃えているか - Piano Trio Version - / 加古 隆 | NHK スペシャル 映像の世紀 |
07 | もらい泣き | BGM09 | Gray Lady (Ash) / 川井 憲次 | Avalon |
08 | 空白の歌 | BGM08 | 一時の休息を / Falcom JDK | 日本ファルコム「ZEWI!!」 |
10 | 堤燈 | BGM03 | Dream of Wings / 葉加瀬太郎 | DUETS |
11 | 愛の隙間で | BGM11 | 夢色坂? | どこから持ってきたのか失念 |
12 | 薄紅の祝福 | BGM12 | Forest MIX | これもどこから持ってきたのやら |
13 | 雪吊り | BGM04 | City | 何かの映画音楽(汗) |
14 | 芥子の花束 | BGM13 | フリーの音楽素材 | SC-88Pro のデータ(汗) |
15 | 一触即発 | BGM14 | バベルの崩壊 / 川井 憲次 | 機動警察パトレイバーVol.5 INQUEST |
16 | 挨拶は時の氏神 | BGM16 | Purple Haze / Jimi Hendrix | |
17 | 草上の昼食 | BGM15 | 新大陸に誘われて / 加古 隆 | NHK スペシャル 映像の世紀 |
18 | 水紋の天蓋 | BGM05 | The Rain / 久石 譲 | 菊次郎の夏 |
19 | それでも人生は美しい | BGM18 | メインテーマ / 坂本 龍一 | オネアミスの翼 |
20 | 義を見てせざるは勇無きなり | BGM17 | Saltwater (The Thrillseekers Remix) / Chicane | Behind The Sun |
21 | 明鏡止水 | BGM19 | 駆け抜ける風のように / ZABADAK | アルバム不明 |
BGM01 ~ BGM13 までは 1 曲で終わるように発注した。つまりこれらの曲は再生が終わるとループしない。ではどのようにして使ったかというと、たとえば秋がテーマなのは BGM02 と BGM03 なのだが、これを順々にならしていく。まだ夏に近い秋ならば、BGM02 → BGM03 → BGM01、秋が深まれば BGM03 から再生し、BGM02 → BGM04 に移行するなど。
BGM14 ~ BGM19 は従来のゲーム音楽通り、ループするように作ってもらった。こちらは使い方も従来通りの使い方となっている。
また頻度の高い BGM01,BGM03 や印象的なシーンで使う BGM10,BGM11 ではメロディを主題歌のメロディを使うようにして、作品内での統一感とそのシーンがプレイヤーの記憶にとどまりやすいようにしてみた。実際、効果があったのかは解らないがボクは割と満足している。
おまけ
夕奈と若先生の前身と思われる 10 年以上前の短編小説。