はじめにこのページはボクが体験してきた失敗例を挙げることにより、同じ職・業界の人たちが同じ問題に陥ったときの何らかの助けになることを願って作ったものである。 完成はいつになる事やら(汗) 更新履歴
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目次視点まずこのページはどのような視点で書かれているかということについて説明しなければならない。というのも何かトラブルがあったとき、一方的に悪い人がいたとしても、その悪い人の視点で物事を整理していくと、決して悪くない場合があるからだ。 だからこのページは非常にナイーブな面を抱えていることをあらかじめ頭のどこかに覚えておいてもらいたい。 そしてここでは「プロジェクトが円滑に進むこと」を前提に「商業的に成功すること(もうけが出ること)」という視点で書かれている。 なぜクリエーターの視点で書かないか? エロゲの制作過程以下はエロゲの制作過程を簡単なフローチャートにしたものである。 もっともこの作り方はあくまでも一例である。 管理部門ゲームの実際のデータ(絵・音・文・プログラム)を作る作業以外に、ユーザからは実際には目に見えない仕事をする人たちがいる。俗に言う管理部門の人たちで、主に以下の役職がある。
プロデューサーは人と人のアサインをするのが主な仕事である。 ディレクターはゲーム制作のトップである。エロゲではだいたい他の役職を兼ねていることが多い。 制作進行はゲームのスケジュール通りに制作が進むようにマネジメントする人である。各制作メンバーがーちゃんと仕事をしているかどうかを確認し、その進行具合をディレクタやプロデューサー、会社の経営陣に報告する義務を負う。 広報・営業に関しては、今回は説明しない。 ゲーム制作メンバーゲーム制作メンバーの詳細は、こちら?を参照してほしい。 ゲーム制作メンバーの詳細は、こちらを参照してほしい。ネックになるのは何か?ゲームを制作していく過程の中で、様々な問題が発生する。 それよりも、その問題解決にどのような手段をとったか、というのがプロジェクトを失敗させる直接の原因になることが多い。 それは何も悪いことではなく、その問題点を通して会社や制作メンバーのスキルが上がっていく。 それよりも、その問題解決にどのような手段をとったかというのがプロジェクトを失敗させる直接の原因になることが多い。 団体作業でありしかも各個人の個性がぶつかり合うゲーム制作という現場では、そもそも問題が起きないことなどあり得ないのだから、各メンバーは問題そのものを恐れる必要はない。 さて、ここではゲーム制作過程で起きるトラブルの種類についてまとめたものである。が、トラブルというのは他の様々な現象と有機的につながっているため、なかなかカテゴライズするのが難しかった。 ここではゲーム制作過程で起きるトラブルの種類についてまとめたものである。とはいえこの手のトラブルは様々な原因がその他のトラブルに発展したリ絡み合ったりするので、カテゴライズすることがうまくできなかったorz
制作費に関するトラブル資金ショートを始め、経済的な理由でプロジェクトが立ちゆかなくなることがある。 ここではゲーム制作費が底をついた場合の事例をあげる。なお、「予算超過による制作費ショート」と「期間延長による制作費ショート」は大意では「資金ショート」なのだが事例としては分けて書いた。
資金ショート一番多いのは開発期間の延長により、開発費が底をついてしまう場合である。他にも出資者がいる場合、スケジュール通りに成果物を出資者に提出できない、出資者が満足のいくクオリティであげられないという理由で開発費が下りないということもある。 資金ショートした場合、プロジェクトそのものがその場で解散になることが多い。 なんとか制作メンバーやプロデューサなどが一生懸命かき集める場合もないこともないが、事例としては少ない。 またそのまま同人ソフトのプロジェクトへシフトする場合もある。 よりベターなのは、新しい出資者を捜すことである。原画家やシナリオ・ライターが同人やネットなどで有名な場合は、新しい出資者を捜すのは比較的楽である。 なお、この資金ショートはゲームが完成したあともつきもので、たとえば予想よりも本数がでなかったりしてそもそも制作費が回収できずに次回作が作れなかったり、出資者がいる場合でも本数が出ないと最終金を払ってくれないということがよくある。 クライアントの破綻結果的に資金ショートにつながるのだが、出資者がいる場合で、その出資者が破綻する場合である。また出資者の経営方針が変わって、エロゲに資金を投下しなくなったりした場合もこれに含む。 結果は上記の「資金ショート」と変わらないが、出資者によっては他の出資者に鞍替えしようにも、出資者同士が仲が悪くてできなかったり、その出資者がからんでいる流通の関係上できなかったりなどというしがらみも発生する。 予算超過による制作費ショート実際に制作してみると、想定した作業よりも遥かに大変だったりして、制作費がかさんでしまい、最終的に資金ショートしてしまう場合である。企画書や仕様書、そして発注書の段階で予算というものは組まれるわけだが(そもそも先に予算があって、そこから企画や仕様を組む場合もある)、いざ作ってみるとその予算ではできなかったりするのが原因である。 これがたとえば CG 数枚であるとかそういうレベルであればそんなに問題はないのだが、その CG の彩色のやりかたそのものが予算の 3 倍もかかる塗り方でした、とかいうことになると目も当てられない。すべての CG 彩色費が 3 倍になってしまうのである。 他にも背景に 3D を使ってみたら人が手で描くよりも高くなったとか、エフェクトに 3D 的なプログラムを入れたおかげでプログラム費が高くなったとか、原画家さんが急に倍の値段じゃないと仕事しないと言いだしたとか、まぁそんな感じで予算の 1.5 倍以上かかったりするとプロジェクト中止がなんとなく見えてくる。 期間延長による制作費ショート何らかの原因で、予定よりも成果物がアップしないことにより制作費がショートする場合である。エロゲーでは外注に対しては出来高制であることが多いため、制作期間が延びて外注費がかさむことはあまりない……というよりは、考慮されない*1。 問題は社員の給料である。開発期間が延びることにより、そのプロジェクトで支払う社員の給料が増える。さらに、すでに広告を打っていた場合は、発売日が延びることにより、雑誌などに掲載する期間が増え広報費がかさむばかりか、発売延期告知の広報費も必要になる。 さらに悪循環になると、どうせ延期するなら延期するに相応しい内容にするために、さらにゲームのボリュームをあげるということをする場合もあり、これはさらに次の延期を呼び込む非常に恐ろしい決断である。 制作メンバーに関するトラブル
クオリティに達しないことによるトラブル外注とのトラブル出来上がった成果物が管理部門の人のお眼鏡にかなわなかったときに起きるトラブルで、トラブルそのものはよく起きるというか、決して複雑なものではないのだが、こと文章や絵、音楽といったものは「好み」というものが介入してしまい、事態がややこしくなる。特にプロデューサーや出資者は実際のゲーム制作のことなど知らない場合が多いので、割と平気で「これレベル低いですよね」とか「作り直してください」とか言ってくる。だめ出しを出された方も「いやそれは好みの問題ですよ」とか「これのすばらしさが解らないなんて」などと食い下がったりして泥沼化する。 これは実際のゲーム作業の中でも発生する。CG 監修が CG 彩色からあがってきたものにリテイク出すときもこじれたりする。 一番いいのは「どこがどうして悪いのか?」をちゃんと理論的に説明することである。たとえばデッサンであれば、物体の前後関係、影の落ち方、発注意図、シナリオの流れなどをちゃんと説明し、だからこの腕がおかしいとかここに足がくるのはおかしいというのを説明する。 色であれば、色の組み合わせや今流行の色、その他テレビや雑誌の広告などを見せて、成果物の配色がおかしいということを説明する。 ただこれらも絶対うまくいくわけではない。クリエイターはそれぞれに信念を持っており、そしてまた自分の制作物を作り上げる上での理論も持っている。これらは人によって異なるため、上記のような説明をしても「いや、でも私の知っている理論ではですね」とか「それはもう古いですよ、今はこっちの色にシフトしつつあります」なんて言う具合で、相手も食い下がることがままあり、そうなるとどっちの理論が正しいか、どっちの信じているものが正しいかという「宗教論争」になってしまうのである。
指示不足によるトラブルシナリオ・ライターやディレクタは自分の分野外のことを指示しなければならないことが多い。絵コンテを切り、一つ一つのシーンを原画家に発注したり、どういうゲームなのか、どんな動きをするのかというのを仕様書としてプログラマに発注しなければならない。しかしディレクタやシナリオ・ライターが全ての分野について精通しているかというとそう言うわけではなく、それぞれ得意分野はあったしても、当然苦手な分野もある。そうなるとその得意分野以外の仕事を発注するときに、どうしても問題が起きることがある。 特にプログラマへの指示はゲームを作る上で非常に難しい。 コンピュータのことを知っている必要があるし、何よりも実際にプログラムをしてみると考慮しなければならないことというのは素人が考える以上に多いからだ。 たとえば単純に「バストショット(立ち絵)を今は二人までしか出せないが、これを五人まで出せるようにしてくれ」という指示をしたとする。このたった一言だけで実は以下のようなことを考えなければならない*2
だがプログラマもプログラマでテキトーに難しい言葉などを使って「どうしても遅くなるんです」なんて煙に巻く。 理想を言えばディレクタは少なくとも全ての分野について「どうやって出来上がるのか」その行程や気をつけなければならない場所は網羅すべきである。 そしてボクは何度も口を酸っぱくして言うのだが、ゲーム業界にいる以上、どの担当の人でも「コンピュータのことを勉強すべき」である。 自分の作ったデータはどの形式で組み込まれ、どのように使われるのか。 コンピュータでできることは何で、できないことは何であるか? これらについてはゲーム業界に入る以上、しっかりと勉強するべきだとボクは思っている。 それこそ全員自作 PC を組み立てられ、何らかのトラブルが発生したら自分で解決できる。それぐらいの知識がボクは必要だと思っている。 ただプログラムはまだ整理しやすい分野である。プログラムを組む上で必ず明確に問題が発生するからだ。だからプログラマがプログラミングに入ったときにその発生した問題をディレクタに報告することにより、全ての問題を目に見える形で これが文章・絵・音楽となると話が変わってくる。 一言「青い」といってもいろいろな青がある。それは文字がよく表している。「青」「蒼」「碧」「藍」「紺」などなど、青だけでもこんなに漢字がある。つまり何が言いたいかと言うと「ここをちょっと青っぽくして」という指定は実は指定のようでいて指定ではない。 どんな青か? 爽快なのかそれとも暗さを引き立たせるものなのか、画面全体のイメージまで変わってしまっていいのか、それともワンポイントなのか、それとも隠し味なのか……一言に「青っぽく」と言ってもその青の効果は無限である。 「もっとこのキャラクタの表情を、萌えっぽく」なんていうのは最悪の指定である(笑)。 だが残念ながらこの手の指定はゲームを作る上でごまんとある。特にゲーム制作の中身を知らない出資者やプロデューサー、絵のことをよく解っていないディレクタやシナリオ・ライターなどが筆頭である。 原画家や CG もシナリオの流れというものを理解していないため、「こんなかっこいいシーンをおもいついたんだけど」と勝手に絵を上げてしまうことがある。その絵を使うためにはさらにエピソードを増やしたり、いや増やすだけならまだいい、その絵によって後半のストーリーが全て使えなくなってしまうということもあり得る。 特に権限が強い人がこのような指定をやらかすと、プロジェクトは大混乱を来す。 だから希望するものがあるときは、企画段階や仕様書・プロットを作っている段階で提案すべきである。まだプロットを練っている段階で「こういう絵も入れてよ!」って言われれば、それはシナリオ・ライターだって快く引き受けてくれるだろう。 しかし途中で出てきたアイデアを全て捨てろというのではない。「こういう絵も入れてよ!」というのがゲームを充分面白くする価値があると判断すれば*3、その絵を使うために制作メンバーが話し合い、その絵を組み込むための作業を分担すれば良いのである。 また、そのような制作途中で出てきたアイデアをよりスムーズに、コスト的にも時間的にも負担が少なく組み込むためにも、自分の分野だけでなく他の分野についても勉強しておく価値がある。そうすれば面白いアイデアを思いついたとき、それをそのまま入れていいのか、入れたらどれくらいプロジェクトが遅れるのか、入れる価値はどれくらいあるのかを自分自身で吟味でき、それはすなわちそのアイデアが良いアイデアなのか悪いアイデアなのかを計る基準にもなるからである。 やり方の違いによるトラブル監督不足によるトラブル報酬に関するトラブル情報漏洩によるトラブルトンズラクライアントとのトラブル
クオリティに達しないことによるトラブルスケジュール不履行によるトラブル情報漏洩によるトラブルトンズラ/倒産うわさ話、2ch などによるトラブル
2ch などの掲示板による情報漏洩(デマも含む)他の外注や他のクライアントを経由しての情報錯綜によるトラブル思い込みによるトラブルその他、自然災害や訃報など
制作メンバーの訃報自然災害によるオフィスビルや開発機器の倒潰・破損どこで作業が止まったかゲーム制作の何処が止まったかというのは非常に重要である。 解決伝説ここでは実際にボクが体験した、様々なおもしろおかしい(と思われる)実話を紹介する。 最後に |