はじめに

このページはボクが体験してきた失敗例を挙げることにより、同じ職・業界の人たちが同じ問題に陥ったときの何らかの助けになることを願って作ったものである。

完成はいつになる事やら(汗)

更新履歴

  • 2008.04.30 やっと書き始める。問題点のうまいカテゴライズができずにいろいろと難航中。

関連ページ

目次

視点

まずこのページはどのような視点で書かれているかということについて説明しなければならない。というのも何かトラブルがあったとき、一方的に悪い人がいたとしても、その悪い人の視点で物事を整理していくと、決して悪くない場合があるからだ。
たとえばある原画家がさっぱり上げてこないことが原因でプロジェクトが頓挫したとする。ディレクタやプロデューサー、経営者は原画家を責めるだろう。
ところがよくよく調べてみると、シナリオ・ライターから原画家への指定の仕方が悪くて、原画家が描こうにも描けない様な指示書だった。しかしこれが解った時点では、もう原画家と会社の関係が修復が難しいくらいねじれてしまったなんていう場合、悪いのはシナリオ・ライターであるが、それをちゃんと見ていなかったディレクターも悪いし、シナリオの指定が悪くて絵が描けませんと言わなかった原画も悪い。だが、会社から見れば一方的に原画家が悪いと判断してしまうことがあるのだ。

だからこのページは非常にナイーブな面を抱えていることをあらかじめ頭のどこかに覚えておいてもらいたい。

そしてここでは「プロジェクトが円滑に進むこと」を前提に「商業的に成功すること(もうけが出ること)」という視点で書かれている。
クリエーターの立場では書かれていないことに注意してもらいたい。

なぜクリエーターの視点で書かないか?
それはボクは少なくともこのエロゲというもので給料をもらっているからである。残念ながら、そして個人的には悔しいかな、ボクは道楽でエロゲを作っているわけではない。ということは何らかの「お金になる成果」を出さなければ、生きていけないのである。
真のクリエイターとは、そんなものとは関係なくゲームを制作できる人たちである。
というわけで、このページではクリエイター魂であるとか、ものを作り出す重要性といった視点は持たずに、「仕事としてゲームを完成させる」という観点で各問題点を取り上げている。

エロゲの制作過程

以下はエロゲの制作過程を簡単なフローチャートにしたものである。
下図では上から下に作業が流れるが、横に並んでいる作業は平行してできるもので、縦に並んでいるものは基本的に上が終わらないと下ができないと考えてもらいたい。

work_flow.png

もっともこの作り方はあくまでも一例である。
最近では先にシナリオをすべて上げてから絵にとりかかるという話を聞く(もちろんキャラデザは終わらせておく)。
また先に絵が上がっている場合もあるが、これは色々と裏があることが多い(笑)。

管理部門

ゲームの実際のデータ(絵・音・文・プログラム)を作る作業以外に、ユーザからは実際には目に見えない仕事をする人たちがいる。俗に言う管理部門の人たちで、主に以下の役職がある。

  • プロデューサー
  • ディレクター
  • 制作進行
  • 広報・営業

プロデューサーは人と人のアサインをするのが主な仕事である。
簡単に言えば「あの絵描きとこのシナリオ・ライターでゲーム作ったら売れるんじゃね?」というようなことであるが、立ち上がった企画を元に、自分のコネクションの中から適した人材を集めたりする。
出資者を兼ねることが多く、ゲーム内容そのものにはあまりタッチはしないが、プロジェクト内では一番偉いことが多い。

ディレクターはゲーム制作のトップである。エロゲではだいたい他の役職を兼ねていることが多い。
ボクが経験した中では、プログラマ/シナリオ・ライター/CG ディレクタ/原画/制作進行がディレクタを兼任していることが多かった。
ディレクターはゲームの完成図が見えている数少ないプロジェクト・メンバーである。どのデータがどのように使われ、どのようなゲームになるのか、そして各制作メンバーが何をすべきで、どのようなデータが必要であるかを把握し、それに応じて各メンバーに仕事を発注する。
基本的にゲーム制作というものはディレクターが頼んだデータを作ることである。

制作進行はゲームのスケジュール通りに制作が進むようにマネジメントする人である。各制作メンバーがーちゃんと仕事をしているかどうかを確認し、その進行具合をディレクタやプロデューサー、会社の経営陣に報告する義務を負う。
また制作進行の権限が強い会社では、遅れそうになったときに代わりにできる人を探したりするコネクションと、できないと判断した人を切ったりする権限を与えられていることもあるが、往々にしてエロゲ業界の制作進行は権限が弱く、制作メンバーの方が立場が上になることが多い。

広報・営業に関しては、今回は説明しない。

ゲーム制作メンバー

ゲーム制作メンバーの詳細は、こちら?を参照してほしい。

ネックになるのは何か?

ゲームを制作していく過程の中で、様々な問題が発生する。
それは何も悪いことではなく、その問題点を通して会社や制作メンバーのスキルが上がっていく。
それよりも、その問題解決にどのような手段をとったかというのがプロジェクトを失敗させる直接の原因になることが多い。
団体作業でありしかも各個人の個性がぶつかり合うゲーム制作という現場では、そもそも問題が起きないことなどあり得ないのだから、各メンバーは問題そのものを恐れる必要はない。

ここではゲーム制作過程で起きるトラブルの種類についてまとめたものである。まず、トラブル自体を大別すると以下のような感じになるのではないだろうか?

トラブルトラブルの説明
トンズラ外注が逃げた、ディレクタが逃げた、クライアントが逃げた……まぁとにかくみんな逃げる逃げる
トンズラに似ているが、こちらは一応本人は捕まる。
クライアントは資金的な面で、ゲーム制作メンバーは人間関係やゲーム制作そのもので鬱になるらしい。
降板様々な理由により、主要メンバーが降板。
情報漏洩ゲーム業界にはいろいろヒミツを持っている人が多い。他にもデータの流出など。
回収モザイクしていない、バグなどの原因による発売後の回収

これらのトラブルが、クライアント・会社そのもの・外注・社員などなどにどのようにして関わってくるかを一つ一つ説明していこうと思う。

制作費に関するトラブル

資金ショートを始め、経済的な理由でプロジェクトが立ちゆかなくなることがある。
プロジェクトを始める前に予算というのは出すのだが、様々な原因により、その予算をはみ出してしまう。
ここではゲーム制作費が底をついた場合の事例をあげる。なお、「予算超過による制作費ショート」「期間延長による制作費ショートは大意では「資金ショート」なのだが事例としては分けて書いた。

資金ショート

一番多いのは開発期間の延長により、開発費が底をついてしまう場合である。
他にも出資者がいる場合、スケジュール通りに成果物を出資者に提出できない、出資者が満足のいくクオリティであげられないという理由で開発費が下りないということもある。

資金ショートした場合、プロジェクトそのものがその場で解散になることが多い。
なんとか制作メンバーやプロデューサなどが一生懸命かき集める場合もないこともないが、事例としては少ない。
またそのまま同人ソフトのプロジェクトへシフトする場合もある。
よりベターなのは、新しい出資者を捜すことである。原画家やシナリオ・ライターが同人やネットなどで有名な場合は、新しい出資者を捜すのは比較的楽である。

なお、この資金ショートはゲームが完成したあともつきもので、たとえば予想よりも本数がでなかったりしてそもそも制作費が回収できずに次回作が作れなかったり、出資者がいる場合でも本数が出ないと最終金を払ってくれないということがよくある。

クライアントの破綻

結果的に資金ショートにつながるのだが、出資者がいる場合で、その出資者が破綻する場合である。
また出資者の経営方針が変わって、エロゲに資金を投下しなくなったりした場合もこれに含む。
結果は上記の「資金ショート」と変わらないが、出資者によっては他の出資者に鞍替えしようにも、出資者同士が仲が悪くてできなかったり、その出資者がからんでいる流通の関係上できなかったりなどというしがらみも発生する。

予算超過による制作費ショート

実際に制作してみると、想定した作業よりも遥かに大変だったりして、制作費がかさんでしまい、最終的に資金ショートしてしまう場合である。
企画書や仕様書、そして発注書の段階で予算というものは組まれるわけだが(そもそも先に予算があって、そこから企画や仕様を組む場合もある)、いざ作ってみるとその予算ではできなかったりするのが原因である。
これがたとえば CG 数枚であるとかそういうレベルであればそんなに問題はないのだが、その CG の彩色のやりかたそのものが予算の 3 倍もかかる塗り方でした、とかいうことになると目も当てられない。すべての CG 彩色費が 3 倍になってしまうのである。
他にも背景に 3D を使ってみたら人が手で描くよりも高くなったとか、エフェクトに 3D 的なプログラムを入れたおかげでプログラム費が高くなったとか、原画家さんが急に倍の値段じゃないと仕事しないと言いだしたとか、まぁそんな感じで予算の 1.5 倍以上かかったりするとプロジェクト中止がなんとなく見えてくる。

期間延長による制作費ショート

何らかの原因で、予定よりも成果物がアップしないことにより制作費がショートする場合である。
エロゲーでは外注に対しては出来高制であることが多いため、制作期間が延びて外注費がかさむことはあまりない……というよりは、考慮されない*1
問題は社員の給料である。開発期間が延びることにより、そのプロジェクトで支払う社員の給料が増える。さらに、すでに広告を打っていた場合は、発売日が延びることにより、雑誌などに掲載する期間が増え広報費がかさむばかりか、発売延期告知の広報費も必要になる。
さらに悪循環になると、どうせ延期するなら延期するに相応しい内容にするために、さらにゲームのボリュームをあげるということをする場合もあり、これはさらに次の延期を呼び込む非常に恐ろしい決断である。

制作メンバーに関するトラブル

クオリティに達しないことによるトラブル

指示不足によるトラブル

やり方の違いによるトラブル

監督不足によるトラブル

報酬に関するトラブル

情報漏洩によるトラブル

トンズラ

外注とのトラブル

クオリティに達しないことによるトラブル

地理的な理由によるトラブル

報酬に関するトラブル

監督不足によるトラブル

情報漏洩によるトラブル

トンズラ/倒産

クライアントとのトラブル

クオリティに達しないことによるトラブル

スケジュール不履行によるトラブル

情報漏洩によるトラブル

トンズラ/倒産

うわさ話、2ch などによるトラブル

2ch などの掲示板による情報漏洩(デマも含む)

他の外注や他のクライアントを経由しての情報錯綜によるトラブル

思い込みによるトラブル

その他、自然災害や訃報など

制作メンバーの訃報

自然災害によるオフィスビルや開発機器の倒潰・破損

どこで作業が止まったか

ゲーム制作の何処が止まったかというのは非常に重要である。
上の方にあったフロー図をもう一度見てもらいたい。あのフローの中の何処で止まったか(問題が発生したか)によって、その後に与える影響が変わってくる。
そして想像すればおわかりいただけると思うが、上の方でトラブればトラブるほど、その影響は大きくなってくる。
ただ、あんまり上の方だと実は逆に影響は少ない。
まだプロジェクト・メンバーを動かしはじめていない段階(ディレクタと原画とシナリオ・ライターしか動いていないとか)では、スケジュールを調整したり、いったんプロジェクトを破棄したりすれば良い。

解決

伝説

ここでは実際にボクが体験した、様々なおもしろおかしい(と思われる)実話を紹介する。
もちろんゲームのタイトルや誰であるかは解らないようにしているので、その辺は詮索しないように(汗)。

最後に


*1 そしてそれが元で、トラブルになることがある。

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