コピーに端を発したとりとめのないの話

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またまたこんな記事があった。
良くも悪くもコンシューマではプロテクトは基本装備だ。
またゲーム機本体にロット差や様々なバージョンがあるとはいえ、パソコンほど広範な環境を考慮しなくて良いというのも、プロテクトをかけられる強みになっているだろう。ボクが初めて PS の開発に関わったときは、プレイされる環境が統一されていることにものすごく感動したのを憶えている。

パソコンは様々な環境が存在する上、安物はちゃんと規格を満たしていなかったり(ほとんど使われない機能はばっさり削ってあったり、必要な処理をすっ飛ばしてしまうなど)、手抜きのせいで本来取らなければならない手続きをとっていなかったり(初期化処理がちゃんと行われないなど)などで、規格通りに作っても動かないことがあるのだ。
またあまりにも規格外のことが普及しすぎて、規格とそれ以外の対処法もサポートしなければならなかったりすることもあり、一言にプロテクトと言っても非常に面倒なのである。
それになんと言っても、コピーできる人はコピーできてしまう。そして今の世の中、ブロードバンドが普及しているので、一人がコピーできてしまうとあとはそれをネットに流すだけなので、もうどうしようもないのだ。
結局、正規のお客さんが面倒な目に遭うだけになってしまう。

もっともそれは法律というのもそういう一面があるなぁと感じることがある。
ちょっと考えの回らない人・悪意のある人がいるばっかりに細かい法律が作られ、ボクらの毎日の生活に支障を来てしまう。
プロテクトも同じようなものなのかもしれない。

そうそう、コピーで潰れてしまった機種と言えば X680x0 が上げられるのではないだろうか? シャープが発売していたパソコンなのだが、(当時の)有名ゲーム・メーカーがこぞって参入したものの、コピーがあふれかえりほとんどソフトが売れなくなってしまったと喞いていたのを聞いたことがある。
まぁもっとも各電機メーカーが独自のパソコンを作る時代というのも終わりを告げていた時期でもあるので、コピーが全ての原因というわけでもないが……結局 X680x0 は市場から姿を消してしまった(その後、MSX とともに今でも同人でがんばってはいる)。

興味深いのが、女性向け作品だ。
実は BL や乙女ゲーの方がコピーユーザは多いのだという。
その辺は女性の倹約の視点なんだろうか? 今までいくつか女性向けにも関わっているが、コピーをしてしまう割合は男性ユーザよりも女性ユーザの方が高いという話はよく耳にした。もちろん絶対ユーザ数の視点で見れば、市場もユーザ数も男性向けの方が大きいので、コピーユーザも男性向けの方が多いだろうが、正規ユーザとコピーユーザ割合としてみると女性向けの方が多いのだという。

ちなみにボクはプロテクトは「かけない派」である。2005 年まではパソコンではプロテクトをかけない会社に勤めてきた。
ところが前の池袋事務所ではプロテクトをかけるのが普通であった。
まぁしかしそこで、プロテクトの無意味さを思い知らされたのだが。
ボクがプロテクトを嫌う理由は以下の三つである。

  1. プロテクトの処理のため、マスター処理が多少複雑になる。またそれに応じて、納期が短くなる。
  2. ユーザに不便を強いる。
  3. プロテクト業者とデュプリ屋にライセンス料が発生する

1 がなんと言っても、大きい。
しかもプロテクトの種類によって、その処理方法は様々なので(EXE にしかける、インストーラにしかけるなど)、マスターごとに確認することが違う。しかもマスター作成時なんて基本的には徹夜明けとかヤバい状態が多いわけで、ミスだって怖い。
ちなみにプログラム以外の処理としては、 2 回 ROM を提出したり、起動キーディスクを作成して、マスター納品後もデバッグをしなければならないと言うような感じである。正直帰りたいんだよ!!!(涙)
2 は自分がプレイすることを考えれば、一目瞭然の答えである。
3 はやはりどうしてもデュプリの値段が高くなることと、その値段がそのままプロテクトを提供している会社にライセンスとして入ることだ。こんなことにコストをかけている場合じゃないのに……というのがボクの本音なのである。

気になるのがパッケージ・ソフトそのものの販売形態だ。
ボクはそもそもデータで済ませられるものはデータで済ましたいと考える人間だ。だからゲームなんかはデータで売って欲しいと思っている。DVD-ROM のメディアとか、どこになくすか解らないし、いちいち DVD-ROM ドライブのトレイを開けて入れるのもめんどくさい(笑)。サーバからダブルクリックさせろ、ってのがボクの主張で、ボクが作ったゲームってのは実はみんなネットワーク越しにプレイできたりとかする(ぉ
だけれどまだまだ世の中まだそうではなくて、パッケージじゃないとっていうユーザは多いらしいのだ。予約特典とかあとマニュアルとか。マニュアルなんてさ、かさばるだけじゃん。オンラインヘルプとか PDF を一緒に入れとけばいいじゃん。設定資料集? 紙なんかでいらん、同じくデータでくれ。壁紙にできないだろ!っていうのが僕の主張なんだけど、どうもそれはダメらしい。
やっぱり物質じゃなくちゃダメなんだそうだ。

ちょっまっwww二次元愛してるなら、データでいいじゃんwww

ってのはダメですか……そうですか……orz

ただ、やはり現在のビジネスモデルを打ち破る必要は出てきていると思っている。
そしてそれにはやはりユーザ側の意識改革とアプローチも必要なのだなというのは感じてきている。
ただその辺、ユーザの方がフレキシブルで順応性が高い。
ネットを使いこなし、様々なネットのサービスを良くも悪くも使ってきている。
その変化に適したビジネスモデル。
コピーコピー! コピーのせいで自分たちの食い扶持が減っているって叫んでるだけじゃダメだと思うんだよねー。そしてそれを取り締まるのもナンセンスだよね。

あ、でも学校の授業でぜひ著作権についてはやって欲しいよね。
資本主義と創作活動にかんする現状の総括も含めて、ね。

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