PC に詳しい人がいない会社の事情を考える

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朝の 10 時頃、知人から電話がかかってきた。
会社の PC が起動しなくなったのだという。眠かったボクの声は、このとき相手には機嫌が悪く聞こえたかもしれない(汗)。まぁとにかく電話越しでは状況把握も難しく、とりあえず BIOS 画面に入り、PC が HDD を認識しているかどうかをチェックするように伝え、HDD が認識されていた場合、されていなかった場合の指示をし、ボクは二度寝してしまった。

その後、その知人からはボク宛にデータ復旧会社に頼んた、という報告があった。
結局ダメだったらしい。

さて、その復旧金額、守秘義務もあるので書けないが、まぁ大卒サラリーマン初給より高い。
まぁでもそんなもんなんだなぁ、くらいにしかボクは思わなかった。
それに HDD のパーティション情報やファイル・エントリ情報などが壊れていたら、素人では手に負えない。ボクがやっても失敗する可能性がある。これらはプロに頼んだ方がいいだろう。

それに、PC に詳しい人間を雇って毎月払うよりも、一時に数十万払った方が安上がりである。

そうなのだ。例えばボクなり、別に誰でもいいんだけど、PC の事にしか役に立たない人を例えば月 20 万とかで雇うくらいなら、トラブルに遭ったときに高い代償を払う方が断然安いのだ。もっともこのトラブルが毎月のように起きるというのであれば雇った方がいいだろう。
しかしこの会社では創立以来、恐らく初めてのことで、それこそ 10 年に 1 回とかそういうトラブルだったと思われる。ならばべつに HDD の復旧に数十万円をとられてもまぁ、そんなに損はしていないのではないかと、ボクは考えた。

さて、その後、データ復旧会社から戻ってきた PC に Windows を再インストールし、PC を使えるようにしようとしたところ、途中でブルースクリーンになってしまう、という報告があった。HDD は新しいものと交換したので、HDD のせいではないという。
じゃぁ、PC そのものが壊れてるんじゃないか、とボクは指示し、メモリテストなどをすると良いと、その方法を教えたのだが、なんだかんだで結局ボクが直接見ることになった。とはいえ先方の会社は別にコンピュータ会社ではないので予備パーツなどはない。そこでその PC を持って来てもらった。

ボクは最初、メモリを疑った。そこで MEMTEST86+ を実行。ところが 2 周しても異常はなかった。となると、マザボか……だとしたら厄介だなと思い、OS のインストールをとりあえず試してみたところ、Windows XP セットアップの一番最初、各種ストレージ・ドライバの読み込みが終わった瞬間、ブルースクリーンで落ちた。表示は、0x0000007B であった。
ストレージ・ドライバの読み込みが終わったあとすることは何か? それは当然、インストール先の HDD を検索することである。もちろんそれには読み込まれたドライバが関係する。ということでこの時点での結論は「やっぱり HDD」がおかしいんじゃないの? でも HDD は新品だ。初期不良という可能性はあるが、それを疑うにはまだ速い。S-ATA の BIOS 設定がおかしいのではないかと見る。

で、BIOS を見たら、S-ATA の動作モードが RAID Only に設定されていた。
う~ん、これかなぁ? RAID Only ってことは複数 HDD がないとダメなのかなぁ。ってのと、ドライバが必要なんじゃないかしら? と、勝手に予測を立て、コイツを S-ATA モードに戻したところ、見事動作した。そしてこのトラブルの原因こそがここにあったのである。

なんと、ウィルス対策ソフトのバグで、BIOS のこの RADI の設定が書き換えられ、次回起動したときに起動しなくなると言うのである。つまりどういうことかというと、はじめから HDD も何も壊れていなかったのである。単純に、この BIOS 設定が RAID Only になってしまったばかりに、HDD が消失し、さらに RAID コントローラのドライバもないために起動しなかったのだ。

なんと言うことだ。こんなことで、知人の会社は高額なデータ復旧作業費を支払うことになったのだ。っていうか、アプリケーションが BIOS 設定を書き換えるなんて事があり得るのか!? それが恐ろしいわ!!

というわけで今回のトラブル、原因がわかった段階でふつふつと怒りが湧いてきてしまった。いや、怒っても仕方がないのは解るのだが、もしはじめからボクがタッチしていたら、データ復旧会社の出番はなかったであろう。まったく悔やまれる事件であった。

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