これは、ぽろりと記憶の彼方から思い出した企画で、ボクの過去の HDD の中から掘り起こしてきた。&br; 作成は 2002.08.13 らしい。 話の内容は、大きな森の入り口にある小さな村の少年が主人公で、少女と一緒にすくすく育っていくんだけど、その村ってのは魔物たちの村でしたよ、と。で、主人公達は魔物が人間に、人間が魔物に見える魔法がかけられてますよ。&br; で、主人公達をさらいに来ていた魔物というのは、実は人間で、主人公達を助けに来ていたんですよ、っていう話。 以下はその当時の簡単なあらすじのテキストを Wiki 化したもの。&br; いま見ると、主人公をとりまく環境や設定が「いろは」に似ているなぁ(笑)。&br; まぁあっちは村が主人公の味方だけど、こっちは敵なんだよね。 * 導入 [#l3c11d7c] 創世の森……すべての生命の源とも言われている北の大地を覆う広大な森。この森は雨の絶えぬ森で、いつも霧雨が降っています。別名エルフの森とも呼ばれ、古くからこの森はエルフが守護してきたとも言われていまが、人の侵入を拒み続けるこの森の真相は未だに闇のままです。&br; この物語の舞台はそんな森の入り口にある小さな村です。&br; &br;主人公トーヤはこの村でささやかな魔法道具屋を営んでいます。魔法の道具といってもトーヤは修行中の身、あまりたいそうな魔法は使えません。せいぜい薬草を煎じたり、森に住む魔物達を追い払うぐらいです。&br; &br;ある日のこと、トーヤは魔法の材料となる薬草を探しに森の中へ出掛けてゆきました。あまり深くへ入ることは村の掟で禁じられていますが、トーヤのよく使う薬草がよくとれる場所は、掟で決められている場所より半日ほど奥に入った所にあります。&br; トーヤがそこに行くと、その場所が荒らされていました。まるで何か戦いがあったように地面は焦げ、木々は切り倒されていました。戦いは数日前に起こったらしく、辺りは静まりかえっています。&br; もう少し進むと、森がぽっかりと開けていました。その部分だけ円形に木々がまったくなくなっていたのです。そしてその中心には一人の少女が横たわり、まるでその少女を守るかのように一振りの剣が地面に突き刺さっていました。&br; 少女はまだ生きているようで、トーヤは薬草のことも忘れて少女を背負い、魔法の師匠であるシーナ・リーのもとへ連れてゆきました。 * 序盤 [#ve571658] 目を覚ました少女は、あの場所で自分をあの場所に連れてきたエルフが殺されたと語るだけで、多くは教えてくれませんでした。また、少女の傍らにあった剣は、そのエルフが使っていたものだと教えてくれます。&br; 無表情で少し頑なな少女ですが放っておく訳にもいかないので、シーナはトーヤの所に住まわせるように命じます。&br; 初めは戸惑うトーヤでしたが、身よりのない少女が可哀相なので引き取ります。&br; 少女は一応の状況は解っているらしく、自分を保護してくれたトーヤには礼を言い、トーヤの魔法道具屋を手伝うことになります。少女の名前はレインと言い、多少魔法の心得があるらしく、トーヤの魔法道具屋は少しだけ品揃えが豪華になりました。&br; 午前中はシーナの魔法の授業、午後は魔法道具屋と、いつも通りの毎日が続きます。&br; 次第にレインも自分の境遇を忘れ、この村に馴染んででゆきます。&br; 魔法道具作り、薬作り、森の中から出てくる魔物の撃退、そして森の中に入っての薬草摘み。&br; このまま、平和が続くかに思えました。&br; ある日、二人が森の中で薬草を取りに入ったとき、トーヤはレインが倒れていた場所に案内しようとします。が、もう一度その場所に来たときには、森が元に戻っていました。確かにそこは戦いによって、木々がなぎ倒され、空き地になっていたはずなのに。&br; そしてその場所には一匹の見たこともない魔物がいました。&br; 二人は何とかしてその魔物を追い払うことに成功しましたが、魔法とアイテムを使い尽くし、一目散に村に逃げ込みます。&br; 本来この森には、この森を守るべく存在している魔物しかいません。村に時折魔物が入ってくる時も、村を襲いに来たのではなく、誤って森から出てきてしまった者や、森に入った人間を追い出そうとする者であって、人間に直接に危害を加えるようなことはありませんでした。&br; しかしトーヤ達が遭遇した魔物は、明らかに森から生まれた者ではなく、まったく異界の化け物でした。この森に侵入者がいる……トーヤはそんな不安を心によぎらせます。 * 展開 [#pf777f57] トーヤから森で遭遇した見たこともない魔物の話を聞いたシーナですが、あまり協力的ではありません。逆にその真相を突き止めるよう、トーヤに命じます。シーナ・リーは見た目こそ幼いですが、その実力はこの国一番とまで言われている存在で、トーヤはシーナが何か隠しているのだと思いこみます。&br; 一方、トーヤの魔法道具屋には村人以外のお客さんが来るようになりました。そのお客さんは遥か東方から旅をしてきたのだと言い、どうもこの森を冒険しに来た冒険者のようでした。名前を宮乃と言い、そのヒラヒラした服装(巫子の服装のことです)とボケボケの口調は、とても冒険者には見えませんが、何でも強い戦士と一緒に来ているのだとか。&br; その宮乃が一言、「こんな村にいて、怖くありません?」と、意味不明な事を聞いてきます。トーヤはその真意がわからず、キョトンとしてしまいます。&br; それからトーヤ達は魔物を追い払う毎日が続きます。&br; 例の見たこともない魔物が村を訪れるようになり、そのたびにトーヤ達やシーナ・リーが呼び出され、魔物を追い払います。&br; 宮乃がトーヤの店に来ているときは、魔物の撃退に宮乃が荷担してくれるときもありました。トーヤは聞き返します「こんな村にいて、怖いってどういうこと?」と。宮乃は答えます「魔物に取り囲まれていることです。私はこの村に入るのもビクビクものです」と。相変わらずトーヤは要領を得ません。&br; それからトーヤは魔物の正体を調べるべく、手を尽くします。&br; 魔物が残していった足跡や、牙、毛などを分析したり、魔物の逃げていく方向を追っていったり……&br; そんなあるとき、宮乃が村の外へ出て行く所を目撃していまいます。&br; なんと村の外へ出てある程度まで行くと、宮乃の姿が魔物へと変化したのです。&br; 魔物に取り囲まれているというのは、宮乃のような、人間に化ける魔物がこの村を取り囲んでいるということなのだろうか?&br; でもそれでは、宮乃の質問はいまいち納得がいかない。&br; トーヤは再び自分の店にやってきた宮乃に勇気を出して尋ねます。 「魔物なのは、宮乃さんではありませんか?」&br; 「違いますよ。宮乃はトーヤさんと同じ、人間ですよ。」&br; 「何言ってるんですか、ボクは見たんです、宮乃さんが化け物になるのを。」&br; 「あれは、宮乃が人間だから、化け物に見えたんですよ。」 それ以来、宮乃は姿を見せなくなってしまいました。&br; * 収束 [#l64f7d46] ある日トーヤ達は魔物を追って森の中へ入っていきます。&br; 気付かれないように、気付かれないように奥へ奥へと入っていくと、あの少女が倒れていた場所へたどり着いたことを知ります。&br; そこに横たわっている魔物。どうやら、寝息を立てているようです。&br; トーヤは思い切って、レインが持っていた剣で魔物を刺し殺そうとします。しかし、その剣が魔物に触れたとたん、その魔物が一人のエルフに変化しました。どうやら魔物は何者かによって姿を変えられていたエルフだったのです。彼女はレナ、と名乗ります。&br; 感動の再会。レナはレインを連れて行こうとします。それは当然なのかもしれません、もともと一緒にいたのですから。&br; さらにレナはトーヤも誘います。 「あんな場所で飼われるよりも、新しい世界を見てみないか?」 その言葉は魅力的ではありました、けれど自分には村もありますし、師匠もいます。&br; そこへ乱入者が現れます。&br; 宮乃と、そして見たこともない風体の女剣士。&br; 二人はトーヤのあとをつけて来たといいます。そして目的はレナの命とレインであることを告げます。&br; レナ対女剣士のバトルが始まります。&br; どちらを味方していいのか解らないトーヤはレインを見ます。&br; レインは迷わずレナの援助をしようとします。&br; そこへ宮乃がトーヤに話しかけます。 「あなたは魔物ですか? それとも、人間ですか?」 戸惑うトーヤ。&br; そこへ、シーナ・リーが戦線に参加します。 「迷うんじゃないよ、あの女剣士は遥か東方から人間狩りに来た、悪いヤツだよ。」 もはや選択の余地はトーヤにはありません。&br; ですが、宮乃の言葉も気になります。自分は、魔物なのか? 人間なのか?&br; 女剣士が叫びます。&br; トーヤとレインは人間だ、と。&br; * 結末 [#k8e13dce] トーヤの暮らしていた村……そこに元々人間など暮らしていなかった。そこは、村の形をした魔物達の住処だったのです。そしてトーヤはそこに飼われていた、人間。魔法を使える人間は魔物達にとっては長寿を得るための絶好な食料になると言われています。&br; そう、トーヤは村人達に食われる為に育てられていたのです。&br; それを計画したのがエルフのシーナ・リー、レナの妹です。彼女は人間が魔物に、魔物が人間に見える魔法をトーヤにかけました。つまりトーヤには魔物が人間に見え、人間は魔物に見えるのです。&br; 宮乃はわざわざ魔物に変身して、村に買い物に来ていたのです。&br; では森を徘徊していた魔物達は? これは森に住み、森を守る妖精や精霊達。&br; それではレインやレナや女剣士がちゃんと人型に見えるのは? それは彼女たちがシーナ・リーよりも高い魔力を持っていたから、シーナ・リーのかけた魔法が通用しなかったからなのです。 それではレインは何者?&br; レインはレナに【食べられるために】育てられた最高の食材。レナがトーヤを誘ったのは、シーナ・リーが育てたトーヤをかすめ取るためだったのです。そして女剣士と宮乃はその魔物達(レナとシーナ・リー)を討伐しに来た冒険者……という事だったのです。 レインが発見された場所、そこはトーヤの両親がシーナ・リーと戦い、破れた場所でした。 |