Top > Columns > 福神漬けはなぜ赤いのか

先日吉野家でカレーを頼んだ。ボクが使っている事務所の近くの吉野家はカウンター方式で、マクドナルドのようにカウンターで注文し、そこで商品を受け取ってから席に着く。なので注文したあとも暇なので厨房の中を見たりしているのだが……頼んだカレーが鍋ではなく、レトルトの袋から出しているのを見て萎えた(笑)。まぁ、ファストフードなのだから仕方がない。
それはさておき、そのカレーについてきた福神漬けが赤色だった。
赤色の福神漬けといえば発ガン物質で有名になったのを覚えている。赤いウィンナーとかもそうだ。これは食用タール色素やキサンチン系色素と言われるものがその悪の主役なわけだが、今でも赤い福神漬けにそれらが使われているのか、ボクは知らない。
それよりもボクが気になったのは、なぜ赤くするか……ということだ(ウィンナーもそうだが……)。
そこでボクはカレーを食べながらいろいろ考えてみた。そもそも福神漬けとは赤かったのだが、工業化の所為で今の製法で作ると赤くならないから赤い色素を足しているとか。赤色の方が色鮮やかで、茶色いものよりも売れるとか*1

実は工業化の所為で色素を使わざるを得ない食品もある。無果汁のジュースなんかがそうだろう。オレンジジュースの味を人工的に作ったとして、それをやはりオレンジ色にしなければ、買い手は躊躇するだろう(もちろんそれを逆手にとって、ぶどう色のオレンジジュースなんかもあったりするわけだが)。
福神漬けは明治時代の漬物屋が開発して、業界に広く売りわたることに熱心だったと聞く。カレーに福神漬けをつけるようになったのは日本郵船の話が一番有名だが、ピクルス嫌いの代わりにいろいろ試した結果という話や、たまたまチャツネを切らして福神漬けを添えたのが好評だったという話など、もはや伝説と化して、本当のところはわからない。
ただ気になるのはその当時の福神漬けが赤かったかどうかということである。

ところで食品において見た目というのは非情に重要らしい。
お米も一番栄養のある玄米よりも胚芽米、さらにもうなんていうかその胚芽もなくした白米が今は主流だ。これは見た目の美しさから来ているとボクは聞いたことがある。
鰹節もまたしかり。あれはカビが生えて、鰹の中の油が空気と結びつかないようにしてくれる。食べるときはカビの部分を削り、中のまだ酸化していない鰹を使うわけである。そうすることによって、脂肪はまだ酸素と結びつく余裕が残ったままボクらの腹の中に収まり、味にも健康にも良いのである。
しかしそうした鰹節は今やほとんど手に入らない。最初から削ったものやつるつるでぴかぴかなものが売れるらしい。
そんなわけで、古来日本で食べてきた様々な食材が【見た目】というものによって、本来の持てる栄養や効果をまったくなくしてしまってきているのだ。これは何も日本の料理だけでなく野菜もそうで、今の日本でとれるピーマンはもはや本来の栄養分を持っていない。
だとすると福神漬けも見た目を色鮮やかにして、購入意欲を誘うためのものではないのかとふと思ってしまったのだ*2
なんてけしからん!
たったそれだけのために発ガン物質を使うのか!?
と怒る前に、よくよく考えてみるとそもそも見た目を重視しているのは消費者の方ではないだろうか?
健康よりも美しい見た目の食べ物が良いと選択したのではないか?
などとカレーを食べながら思いついたのである。

そういえば昔はお米を炊く前に虫取りをしていた記憶がある。今ではお米に虫がいるなんてことはなくなった。野菜を洗うときは、泥を落とすのが大変だった。でも今は農薬を落とすために野菜を洗う。
魚も、今ではどこでとれた魚でも水銀が問題視されるようになった。
科学が進み、様々なものが効率的に生産できるようになったが、その分、別の場所で人間にダメージを与えているのだなぁと、ファストフードを食べながら考える自分。ああ、なんというこの矛盾さ(笑)。
だがもちろん、その代わりにボクらは「便利さ」というのを手に入れているのであることも忘れてはならない。コンビニに行けば弁当がぱっと買える。自分の食べたい料理が四季に関係なく食べられる。これはスゴいことだ。みんな当たり前のように思えるが、実はすごいことなのである。
だが同時にそれは人間の体に決して良いものとは限らない。
老化を促進させ、老廃物を体内に蓄積させたり、遺伝子を傷つけてしまうものでもあるのだ。
そしてそれは消費者が選んだ道でもある。
よくマクドナルドなどのファストフードを出す店を批判する人がいる。間接的に人を殺しているとまで言う人もいる。だがそういう人たちはじゃぁちゃんとした食べ物を調達する大変さを理解しているのだろうか? 添加物や防腐剤、そして外食独特の濃い味付け。これらを避けて新鮮で手間を掛けて、それでいておいしい料理を出すという大変さを。
そこには便利さを含め、様々なものを犠牲にしなければ得られないのだ。もちろん今の科学でも出来なくはない。北海道でとれた新鮮な海の幸を、その日のウチに東京で食べようと思えば、それは出来るしそういう店はある。でもそれはポテトセット 500 円では実現出来るわけはないのだ。
500 円で食事を済まそうと思ったら、どうしてもそういう食材になってしまう。
それがいやなら、自分で調達し自分で調理するしかない。

だから消費者はもっと食材や食品の流通についてもっと勉強した方がいいかもしれないと思った。消費者は買うことにしか今は興味がない。だけれども、使われている食材の正体やそれらがどうやって調理されているか、また、店側が儲けを得るためにはどれだけの食材をどのように扱って、どうグレードダウン(アップ)させているのか。
それを知れば、少し出費を多くしてでも、もしくは少し時間を掛けてでも、すこし労力をかけてでも、健康なものを選ぼうとする消費者だっているかもしれない。もちろん、ファストフードだけでもいいという人もいるだろう。
振り返ってみると、家庭科の授業ってなにをやっていただろう?
調理方法だけじゃなくて、こういったこともこどもたちに伝えるべき何じゃないかと思った。
そうすれば、平日の昼下がり、マクドナルドに集まる奥様たちの姿も減るのじゃないかとも思った。いやね、大人はまだいいですよ、マック。でも体の小さい幼児や児童はマジでやばいんじゃないかなぁと思う今日この頃なのであった。

2006.06.29 大和 環
  • 2006.07.02 誤字脱字、誤解を受けそうな部分を修正。



  • 俺は食い物関係の仕事を長年しているし、経営者なのであまり知りたくない製造の現場の情報までドカドカ入ってくるので、そういう意味では不幸な立場です(笑) -- 龍英 2006-07-01 (土) 14:44:11
  • 特に中国製の商品の製造現場は一度見たら”妖怪人間ベム”並みのトラウマとして刷り込まれること間違いなし!(中国製ゼリーの恐怖)http://kowloon.lolipop.jp/news/archives/2006/06/eieaei.html#more -- 龍英 2006-07-01 (土) 14:47:03
  • 自分の体験では、人糞を餌にしている鰻の養殖場の現場を目撃したことがあります。食べ物の仕事に関わるものとして皆さんに是非知っていただきたいことは、我々人間の体を構築しているのは、細胞でもアミノ酸でもなく「その人が毎日食べている食べ物」だと言うことをよく覚えて欲しいと思います。 -- 龍英 2006-07-01 (土) 14:51:20
  • 誰だって自分が真空パックされて棚に売られているとして、「原材料>マック、オXジン弁当>コーラ>その他」と記入されていたら買わないでしょう? (^-^ (T-T -- 龍英 2006-07-01 (土) 14:54:34
  • 追加>七色に輝く中国河川http://blog.livedoor.jp/safe_food_of_asia/ -- 龍英 2006-07-01 (土) 16:59:28
  • 食品は見た目ですよ。漂白剤を使ってでも白くさせますよw -- ken1? 2006-07-02 (日) 01:16:00
  • 龍英
    ここに書いてあることは、基本的に君からの知識とそれを元にネットや本で調べたものです。
    Ken1>
    漂白剤が使われていると知った上で買うのか、知らずに買うのか、の差は大きいよねというのがこのコラムの主旨なのです。 -- たまきん 2006-07-02 (日) 11:56:13
  • そうね、その差は大きいね。ところで俺は殺されても良いからマックの製造現場を世界中にスクープしたい。適当なドナサンを拉致して場所を吐かせるか(笑) -- 龍英 2006-07-02 (日) 13:01:03
  • 発がん性物質というのは、福神漬けでいう 赤101号とか所謂人口着色料の事でしょうか。 -- 2011-01-04 (火) 18:30:40
  • 発がん性物質というのは、福神漬けでいう 赤101号とか所謂人口着色料の事でしょうか。使って赤くしてるとことそう出ないとこがあると記憶しています。パプリカ色素で着色すると、どちらかといえば健全なものとみなせると思います。人口着色料は同時に味覚をも破壊します。福漬けは議論が必要でしょうね。 -- 2011-01-04 (火) 18:34:25

#comment


*1 でもこの赤、どう見ても毒々しいよな……とてもうまそうにはみえん。
*2 いや、忙しくて実際のところとか全然調べてないんだけどね<ダメじゃん

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