2ch とサイレント・マジョリティボクは 2ch に出入りしている人間ではない。2ch とボクの接点というのは、例えば技術系の検索をしているときにその解決策があったり、友人・知人から「たまきんの関わった作品、スレ立ってるよ」と送られてきて目にするくらいである。 さて、ボクが 2ch に抱いている印象は「サイレント・マジョリティが発言する場所」だった。 だから 2ch のエロゲのところを参考にするのは、あながち間違ってもないのかも知れない。やっぱりブログやサイトとか開設して感想をアップするような人というのは、ゲームそのものを考えてくれる人だし、何よりも自分の好みのものしか意見や感想を言ってくれない。その人の好みが、万人の好みとも限らないわけである。それに引き替え 2ch では好きとか嫌いとか以前に、たまたまその商品に引っかかった人なんが──つまり、普段なら我々開発者の耳には届かない──ライト・ユーザー、一見さん、萌え属性のある人などなどが書いているのかもしれないな、などという幻想を勝手に持っていたのである。 ところが 2 ~ 3 年前くらいかなぁ。前の池袋の職場を辞めた頃から、2ch でのエロゲ界の地位って凄く下がった印象がある。社長さんや絵描きさんなんかも別に 2ch に張り付いたり、2ch に書かれていることを気にしなくなった。もちろんこれはあくまでも、ボクの周りで起きていることである。 つまり 2ch に書かれていることがそのまま売り上げに全く反映されていないということが、ここ数年の流れのようなのだ。これが「元から反映されていなかったんだけど、2chぐらいしかユーザの声を聞く場所がない」からそうだったのか、それとも「かつては 2ch の影響力はそのまま売り上げに反映していたが、今ではそうではない」なのかはボクはわからない。 けれど、10 万本タイトルのスレッドはそう言うわけでもないようにも見える。10 万本クラスの有名タイトルのスレッドは明らかに、荒れることがあったり、作品の内容をくみ取れずにどばーっと脳内垂れ流しの書き込みとかがあって、あぁ、ライトユーザが普通にいるなぁ、という印象を受けた。 でも 2 ~ 3 万本クラスだとそうでもない。 この分岐点はなんだろうか? それともう一つ、これは龍英の知人が言っていたらしいのだが、マニア的要素が強い板だと、本当のマニアがライト・ユーザやにわかファンを攻撃して来られなくしてしまうらしいのだ。結局そこにはマイノリティしか集まらなくなり、ライト・ユーザの意見が全く書かれなくなってしまうのである。 他にも 2ch 人口の高齢化や、若い人は「情報収集よりもコミュニケーションを求める」傾向にあるなどなど、要素はたくさんあって、一概にも 2ch がサイレント・マジョリティの集まりではなくなったとは言い切れないのだが、ここ 2 ~ 3 年で 2ch のエロゲ業界内での信用とか期待というのはかなりしぼんでしまったようだ。そしてそれが 2ch 全体に言えることなのか、それともエロゲ板だけに限ったことなのか……それはちょっと他の業界の人と情報交換してみたいところである(笑)。
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