今回は小説をお休みして、人の死後のいろいろな話。たぶん今は高齢化社会でこういった話題には事欠かないと思うのだけれど、うちのサイトを見に来ている人でけっこう若い人もいるので敢て書いてみた。なんとなく、人が死ぬとそういう運びになるんだとぼんやりと頭に入れておいてもらえると。
まず埋葬までの流れは、死亡届→火葬許可証→埋葬許可証という順序がある。火葬するのに許可証がいるとは知らなかった。死んだら勝手に燃やせというワケではないのだな(笑)。そして埋葬にも許可証がいるのだな。この辺、個人的にはまどろっこしいと感じたが、殺人・死体委棄などの問題も考えると必要なのであろう。
葬儀屋の話によればおおむねこれらの手続きは遺族がおこなうのが良いのだが、しかしながら死後翌日とかにおこなうことなので、遺族では精神的に耐えられない場合も多く、葬儀屋が代行してやる(委任状を葬儀屋に渡す)ことがほとんどとのこと。
死んだその日のうちに葬儀屋が葬儀の場所、火葬の場所まで抑えてくれる。さすがである。
他に遺産の問題が出てくる。うちの父の場合これまた面倒くさい。というのもオヤジは愛人をつくって、母とは離婚し、出て行ってしまった。オヤジとしてはどうやらその愛人と、そして実子であるボクと弟に遺産を残したいようで、また別荘や車なども含め、どうするこうするという遺書を残しているらしい。
遺書は手書きじゃないと行けないというのも、はじめて知った。
話がややこしいのが、その愛人とオヤジは結局籍を入れてないらしい。
遺言書しだいでその辺はどうでもなりそうだし、事実婚であれば実際の妻と同じような扱いを受けると聞いたことはあるが、遺言書に不備があって無効になるといろいろと面倒そうだ。ボク自身は遺産に興味はないので独り身になるその愛人のものになっても良いのだが、父方の親戚一同からはさらに細かいことを言われており、一筋縄ではいかなそうだ。
さらにさらにもう一つボクの思う問題事が有り、それは父が離婚した際、母には一切慰謝料を払っていないことだった。母は年金生活者で有り、決して経済的にも余裕があるわけではないので、ボクが受け取れるようなことがあればそれをそのままそっくり母に渡したいと考えている。まぁそんな色々な思惑があって、あぁ、欲がなくてもけっきょく遺産はややこしいことになりそうだと頭を悩ませている。
これで遺族が欲深い人間ばかりだったら、そりゃ人間関係がドロドロになったり、金額によっては謀殺とかにまで発展してもおかしくないなぁと実感した(笑)。
難しいのはボクが「母のために渡したいので」とか言ったところで、それは「建前」や「いいわけ」としか相手には捉えられないのではないかという思いである。そう思われると向こうは「なんだやっぱり欲しいんじゃん」となり、心に壁を作られ、問題解決を難しくしていく……。
なので遺産の問題はなんだか面倒なことになりそうだ。あぁもう。
火葬は翌日の 15 日と決まった。
遺体は父の家に持ち帰り、火葬までドライアイスで冷やしておく。
面白いのが、父は良く口を開けて寝ていたのだが、それがクセになっているのか、遺体はなんど口を閉めてもそのうちまた開いてしまった。そもそも死体はそういうものなのか、それとも本当に父のクセなのかは解らないが。
そして死に化粧をしてもらい、穏やかな表情にしてもらって(もともと表情は穏やかだった)、これで火葬を待つことになる。
父は生前から「葬式はするな」「墓は作るな」「灰は別荘にばらまけ」と言っていたので、特に宗教的なお葬式はせず、単純に納棺と火葬のみおこなうこととなった。灰をばらまくのはおそらく無理であろう(死体委棄?)。墓は申し訳ないが建てるつもりである。というのも父方の家族からは勘当されているため(愛人事件で)、父方の代々の墓に入れないのだ。
葬式はしないというのは、なんとか守られそうだ。
葬式をしないというのはボクも憧れている。死んだらそのまま勝手に死体も消え去って欲しいのだが、そうも行かないので、自分の場合どうなるのやら。場合によっては母より先に死にそうだしなぁ。