安倍前首相銃撃事件、雑感

事件からすでに一年が経ってしまったため雑感もクソもないだろうという話ではあるのだが、一応当時の自分の感情を思い出しつつなるべく事後に解ったことには触れずに書いてみようと思う。

まず自分の政治的立場から。ボクは amatsukami.jp や天津神本舗などというサイトを運営しているため、世間からは右派だと思われることが多々あるのだが(笑)、ボク自身は中道左派を自認している。また保守よりはリベラル寄りである。

なので自民党支持者ではない。また右翼的な思考は持ち合わせてないわけではないが、ボクの思考は世間一般の右翼とは一線を画す。何故か。それは独立国家志向が強く、アメリカを敵視するのが本当の右翼だとボクは思っているからだ。将来的には米軍を追い出し、自身の諜報機関と軍隊を持って日本国という完全独立した国家を標榜するのがボクの中の右翼観である。
安倍前首相もそうだが現在のメジャーなアメリカ擦り寄り型の右翼にボクはまったく同意できない。

また右翼のそして安倍前首相の標榜する日本の姿というのが、ボクには理解出来ていない。彼が言う「美しい日本」とは何か? 天皇中心の世界か? それにしては安倍前首相は天皇に文句を言ったこともある。というか戦前から右翼はだいたい天皇の言うことを聞かないwww
あと右翼が標榜する日本観はどの時代のモノかサッパリ解らない。たとえば武士の世界は反天皇であり、宗教は仏教が基本だ。なので鎌倉時代~江戸時代は右翼の標榜する世界とは違うはずだ(だが武士道とかは大好きらしい)。恐らく明治維新後~太平洋戦争前までの世界を美しい日本と言っているのだろうが、残念ながらそれでは「伝統ある日本の姿」ではないしアイデンティティとして最近過ぎるし、弱いとボクは思っている。

というボクの政治的立場・右翼思想の考え方を前提に雑感を述べたい。

第一報をを聞いたとき、ボクは「あぁそういうオトシマエできたか」という考えがよぎった。というのも彼は彼の強い信念を推し進めたがために賞賛する人はたくさんいたが、泣かせてきた人も多くいたからだ。なので恨みは相当買ってるだろうなというのがボクの中にはあった。だから事件の第一報が入ってきたときは、ついにやった人が現れたのかと思った。

しかしそれは間違っていた。というのもボクの言う「安倍前首相が泣かせてきた人たち」というのは彼の政治的・思想的な決定・行動によって泣かされてきた人たちのことだからだ。蓋を開けてみればそれとは全く異なるベクトル・力学にいる人が犯人だった。
それは犯人自身も「政治・思想は関係ない」と吐露している。

ただ泣かされた人たちは安倍前首相の最期を見てバチがあたったと思った人もいるのではないだろうか?
彼は殺されてもおかしくないくらい恨まれるほどに自分の信念を徹底しているようにボクには見えていたからだ。

あと個人的に不思議だったのが、一発目の時に伏せる行動をしなかったことだ。日本の政治家、しかも総理大臣ともなると防犯上のレクチャーを受けると思うのだが、銃声が聞こえたらまず伏せるということは教えられなかったのだろうか? それとも教えられてはいたが身体がとっさには動かなかったのだろうか?

さらに感じたのは安倍前首相を神とあがめるほどいい思いをした人もまたたくさんいたと言うことだ。これは何も彼の政治家仲間だけの話ではなく、株をやってた人なんかも安倍前首相支持者は多い。アベノミクスで美味しい思いをした人はたくさんいて、そんな人たちから見れば、アベノミクスは大成功なのだ。

なので安倍前首相の評価というのはとてもバラエティに富んでいると思う。殺したいほど憎んでいる人もいれば、歴史に残る政治家だと言う支持者もいる。さらに信者めいた支持者もたくさんいた。ある意味、夢を見させるのがとても上手い政治家だったのだろうし多くの富を手に入れられた人もたくさんいるのだろう。
だがその富のせいで犠牲になった人もたくさんいる。しかし安倍前首相はそれを由として邁進していたように見えた。なぜなら犠牲になった人たちは、安倍前首相の思想からは外れた、ある意味敵であり、非国民だからである。