国際社会はチンパンジーの社会に近い

今日、我が家の近くでもアブラゼミの鳴き声を確認した。
雰囲気的にようやく夏が来たって感じだ。
でも、ボクの記憶ではだいたい 7 月の下旬頃から鳴き始める。ちなみに去年は 7/17 に初セミを聞いたようだ。

気温は以下の通り。

さて、表題の話である。
自然界において同族を殺す種(主に哺乳類)は限られているなんて書くと首をかしげるだろうがもう少し詳しく話すと、ストレスや食料問題・子孫問題で同族を殺す種は多い。いわゆる共食いが有名だ。メスを争ってオス同士がケンカをする種もいるが、負けを認めさせるのが目的で殺すことはない(ただし、その時の怪我で命を落とすことはある)。

さらに群れを成す種で、オスが入れ替わると先のオスの子どもを殺すという種もいる。これは確実に自分の種(タネ)の子どものみを残すというオスの本能による戦略だ(人間でも父親が連れ子を虐待するのは、このせいかもしれない?)。

こんな感じで、同族を殺す条件というのは基本的に決まっている。
それ以外の様々な利害で同族を殺す動物は実はチンパンジーと人間(ホモ・サピエンス)だけらしい。これは知能が高いことから来ていて、未来予想と計画性の広さから来ているとのこと。たとえばチンパンジーが別の群れのチンパンジーのオスを殺害するのは、追い払うだけでなく殺害することによってその別の群れのテリトリーも自分のモノにできるからである。攻撃して反撃を食らうリスクよりも殺害によって得られるメリットを天秤に掛け、いけそうなら殺害するという思考である。

人間も同じだそうな。これはチンパンジーも人間も同じ類人猿から枝分かれしていることを根拠の一つとしている。ちなみに同じ類人猿から枝分かれしたボノボはそのようには進化せず、メスが主導権を握り、メスが相手の群れに入っていってそこでメス同士が仲良くなったり、相手の群れのオスと交尾したりして群れと群れを一つにしていくそうな。

また、チンパンジーや人間が殺害という方向に進化した理由の一つに、交尾の機会が引き金になっているらしい。先のボノボのように、ボノボは雌が発情している期間が長くオスは交尾に巡り会える機会が多い。一方、チンパンジーはボスザルが群れを支配し、交尾をする権利は序列が決まっておりこれを乱して交尾することは出来ない上に、メスが発情する期間が短いのでオスが交尾にありつける確率がとても低い(ちなみにチンパンジーの雌は子を失うと発情する。新ボスが前ボスの子どもを殺害するのはそう言う目的もある。これはライオンもそうなので類人猿よりももっと古い遺伝子なのだろう)。
そのためチンパンジーでは同じ群れの中でも殺しが発生する。

人間は発情期をなくすことや群れではなく番いになることによってメスを独占する方へと進化したため、同族内での殺しは一応の解決は見たものの、群れ同士の殺し合いに関しては残念ながらボノボのようにはいかなかった。

それでも社会が高度に発達していくに連れ殺人は良くないものとされ、社会全体としての殺人=悪というコンセンサスは形成されつつある。中世ぐらいまでは王権を継ぐ(奪取する)と自分の親族は皆殺しにするなんてのも当たり前にあったけど、今ではさすがにそんなことはない(影で殺すとかは今でもやってそうだけど)。
そんな感じで時代を経るに連れ、我々人間は殺人に対する見識を改め、徐々に殺人を遠ざけるように発達してきた。

が、今の世界を見渡してみると、国と国同士に関しては我々はまだチンパンジーの世界から抜け出せていないことに気付く。殺害することが是なのである。これは遺伝子に刻み込まれた人間としての本能なのである。
だがボノボのように、我々と同じ先祖を持ちながら殺害を克復した種もいる。
いつか人間もそのように進化し、争いから遠ざかることができるようになるのではないかと思っている。

というわけで、この話、こちらに続きます

  • 以下、補足
    • 同族殺しをするのはチンパンジーと人間だけと書いたが、プレーリードッグもするらしい。こちらの動機はまだ解明されていない。
    • チンパンジーはボスが入れ替わると前ボスの子どもを皆殺しにするが、食糧事情が良い場所に住んでる群れはそれが起きないことが多い。これは単純に群れの数が多い方が有利であることを優先しているのだろう。
    • ライオンは他の肉食獣の子どもを殺害する(食わないので餌として殺すわけではないことは解っている)。これが自分のテリトリーの将来への計画性を持っての行動だとしたら、↑の話はまた変わって来るかもしれない。
  • 今夜のヘビロテ -> Hot Stuff (Frankie Knuckles & Eric Kupper As Director’s Cut Signature Mix) / Donna Summer