iOS 版 Atok を入れてみた

iOS が 8 になり、アプリだけでなくデバイス ドライバサードパーティが提供できるようになった。というこの一文だけで、その意味が理解出来る人は少ないと思うので噛み砕いて説明し直すと、iOS は今までアプリしか Apple 以外の会社が提供することは出来なかった。
アプリ以外何があるんだよ、っていうとそれはデバイス ドライバと言われるモノで、特定のデバイスをコントロールするプログラムだ。デバイス ドライバのように常にメモリ上に常駐し、ハードウェアを制御するようなプログラムは、通常のアプリよりも高い権限が与えられる。
なぜ高い権限が必要かというと、デバイス ドライバは全てのアプリから利用できる必要があり、さらに必要に応じてアプリよりも優先度が高く実行されなければならないからだ。例えばキー入力や画面タップを扱うプログラムは、各アプリにキーや画面が押されたことを伝えなければならないし、アプリの動作に関係なく、人間は勝手にキーや画面をタップするので、アプリの動作をいったん止めてでも、その人間様の操作をとりに行かなければならない。なので、デバイス ドライバは通常のアプリよりも優先して動くように作られているのだ。
そのため、悪さをするソフトウェア(マルウェア)の自由度も広がってしまい、さらに通常のアプリからは排除できないなどの問題も出てくるため、Apple 以外では配布できないようになっていたのだ。
それをどのようにクリアしたのか、ボクは調べてないのだが(マテ)、iOS 8 からはサードパーティ(Apple とは関係ない存在)からもリリースできるようになった。

で、案の定 Atok という日本語を入力/変換するドライバの iOS 版が今日リリースされたので、さっそく入れてみた。
今まで iOS にも Atok はあったのだが、それはメモ帳として提供され、そのメモ帳でのみ Atok が使えるというものだった。常にメモリに常駐し、ユーザからの入力をすべて乗っ取って(プログラムでは、フックという)動作するようには今まで書けなかったからだ。

でね、解ったことは、スマフォで文章を入力する場合、圧倒的に単文節変換+予測変換なのよ。例えば、「今日は東京はいい天気です。そちら、青森の天気はいかがですか?」って入力しようとすると、パソコンの場合、最後の「いかがですか?」を入力したところで初めて変換ボタンを押す(ボクの場合は自動変換を用いているので、変換ボタンさえも押さないが)。
ところがスマフォだと、「今日は」「東京は」「いい天気です。」「そちら、」「青森の」「天気は」「いかがですか?」と文節毎に変換していき、その途中で予測変換で合致したモノがあれば、それを採用していく。
となると、文章全体から予想される同音異義語の変換(例えば「貴社の記者が汽車で帰社した」みたいな文章)というのは余り効果を発揮しない。結局、文節毎に変換するので、どちらかというと「過去に何を入力したか」の方が大事になってくる。
なので「頭がいい」と評判の Atok である意味が、あんまりないのだ。
もちろん既に変換し終わった文章からも推測してくれてはいるようだが、スマフォでは圧倒的に過去に変換したものと予測変換(但しこれも過去に変換したものに大きく影響される)を頼りにしているので、Atok じゃなくても特に問題ないのだ。

つまり正直な感想、Atok にする意味って……ないような気がする。

まぁ、スマフォでも連文節変換すれば Atok でもいいような気がするんだけど、ボクは今のところスマフォで連文節変換をする気にはなれない。なぜなら変換途中のままずらずらと長い文字列を表示できるほどスマフォの画面って広くないし、入力間違いや変換間違いを見付けたとき、そこまで戻ってそこを修正して、また文末まで戻るとかそういう操作がやりづらい UI なのだ。

あと Atok にはもう一つ難点があって、やはりまだデバッグ不足なのか、時々お亡くなり(フリーズ状態)になる。そうすると文字入力が一切出来なくなってしまうのだ。こうなってしまった場合、現在のアプリをいったん終了してから起動しなおすと文字入力できるようになる。
それともう一つ、Siri が使えなくなってしまうのも問題だ。標準の文字入力から Atok に切り替えると Siri の呼び出しボタンがない。
ボクは両手が塞がっているときなどに Skype や SMS に応答するとき、Siri を使って文字入力している。Atok にしておくと Siri が呼び出せないのだ。

そんなわけで、iOS 版 Atok、今のところ……うーん、イマイチという感じだ。

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