ファッションが解らなかったボクへ

ボクは世間から言うと、オタクという部類の人間に入る(オタクから言わせたら、オタクとは言えないだろうが)。
最近のオタクはそうでもないが、昔のオタクというのはファッションに無頓着であった。服というモノは、楽で、夏涼しく、冬温かく過ごせればなんでもイイみたいな考えだった。そしてボクはいまでもその傾向は強い(汗)。

なので、女子高生へのセクハラや性的暴力事件なんかを見てても、そりゃあんだけ丈の短いスカートとかはいてりゃ、レイプしてくれって言ってるようなもんだ、女子高生側にも問題があるだろう、なんてことを思っていた。
駅の階段なんかでスカートを抑えながら登っている女子高生とか、「はぁ? だったらそんなスカート最初からはくなよ、バカじゃないの?」とかも思ってた。

そんな 20 代 30 代を過ごしてきた。

だが、それはボクの浅はかな考えでしかないということに、ようやく(30 代の後半ぐらいからかなぁ)気付きはじめた。

きっかけはスポーツカーだ。ボクは車マニアとかエンスーではないが、運転は大好きだ。そのため、運転が面白いスポーツカーも好きだ。そもそもオートマが嫌いだし、自分で車を操る喜びというものが好きなのである。
それに引き替え、世に出回っている車のつまらないこと……。車好きには本当に生きにくい世の中になったなぁ……なんてことを考えていたのだが、これがまさにファッションと関係することだったのだ。

つまり短いスカートをはいて、誰からもかわいく見られたい……!(まぁ、世の女子高生がそう思って、そういう格好をしているのかは解らないが)という欲求と、キビキビ走ってパワーもあって、運転が心地いい車に乗りたい! というのは、実は同じわがままだったのだ。
世の人は車は道具であって、人や荷物が載って、目的地まで走れればそれでよいのである。スポーツカーなどという、何の操作にしても人間が操らなければならず、人も二人しか乗れない、さらに車内は狭い。そんな車に何で乗らなきゃならんのじゃっていう(前乗っていた Euro-R という車では、同乗者が嫌がることも多かった)。
ファッションも同じ。かっこよく or かわいく見せるには、夏に暑い格好、冬に寒い格好をしなくちゃいけないし、不便な服を着ることもあるのだ。

さらに、夜、黒い服とか着ている人がボクは大嫌いだった。
ドライバーからしたら、発見は遅れるし、暗闇に紛れるしで、黒い服を来ている人は死にたいに違いない! とまで思っていた。

違うのだ、違うのだよ。
スポーツカーに乗りたいのと同じ。黒い服を着たい。それに何の問題があろうか。黒い服を着ることをなぜ責められなければならないのか。その人がそれを着たいのだから、それでよいのである(安全とは別のレイヤーであって、ファッションと安全をそのまま議論するのはおかしいのである)。

というわけで、ようやくボク的にファッションの必要性を理解したつもり。
これで露出の高い女の人を見て、どん引きすることも(あ、もちろん目の保養にはさせてもらってます)、夜道を黒い服で歩く人をみてもピリピリすることもなくなった。
ボクもスポーツカー好き。ファッションと同じわがままを持っているのだ。