Apoptosis VI / rain forest

「たまにはこっちで泊まりましょうか?」
店で夜を過ごそうと提案したのは、少女の方だった。
どうせ朝になったら店を開けなくてはならない。
「でも、ベッド、一つしかないですよ?」
帰り支度をしながら、トーヤが思案した。とはいえ、別に自分は床に寝てもイイかというアイデアを思いつき、帰り支度をとりあえずやめた。
「一緒に寝ればいいじゃない」
ところが少女の答えはトーヤの予想と異なったものだった。
「え!?」
思わず声を上げる。
「ちょっと狭いけれど、トーヤだって小柄な方だし、私は見ての通り子供だし、きっと大丈夫よ」
そういってベッドルームへと駆けていく。
「せ、先生……」
ちょっと焦りながらも、トーヤが後を着いていった。
二階のベッドルームはシングルのベッドが一つ、ポツンと置いてあるだけの何もない部屋だった。
一応窓辺に、トーヤが生けた花が寂しげに置かれている。
店に飾ろうと、いくつか花も摘んでいたのである。
「ほら、ここのベッドは日光が当たるから、気持ちいいわよ?」
少女が掛け布団に顔を埋めて嬉しそうに笑った。
「ボクは床で寝ます」
そんな少女の言葉を尻目に、トーヤは自分のローブを床に敷き始めた。
「えー……」
少女が悲しそうな表情をして、足をばたつかせた。
その仕草はまさに少女らしい。
「狭いじゃないですか。それに……」
トーヤはなんだか恥ずかしかった。
子供じゃないんだから、一緒に寝るなんて。それに一緒に寝る相手は見た目こそ少女だが、自分が尊敬する……いや、あがめてもいいほどの大魔法使いである。一緒に寝るなど、畏れ多いことこの上ない。
「あ、ひょっとして!」
顔を赤くしたトーヤを見て、少女はポンと手を打った。
ギク。
トーヤが焦る。
「私に恋しようとしたって、ダメよ!」
ところが少女の言葉は、トーヤにとっては見当違いの応えだった。
でも、少なくとも少女は真剣なように見えた。
恋愛ごとに関しては、この目の前の少女はすごく疎いことをトーヤは何となく感じていた。
少女が自分の何倍生きているのか皆目見当は付かないが、こと色恋事とかその営みのことになると、まさに見たとおりの少女のようなあどけなさと未熟さを見せるのだった。
しかも当の少女は、それで自分が今まで見てきた常識と言わんばかりに振る舞うので、こればっかりはトーヤも苦笑してしまうのだ。
「はいはい、別にそんなんじゃないですよ」
なんだか逆に自分の方がイニシアティブをとった気になったトーヤは、少女のことなど無視して、寝る準備をする。ローブを敷いて、それから上着を脱いで、持っていたバッグで枕をこしらえる。そして寝心地を確かめるように横になった。
「む……」
納得がいかないのは少女の方である。
てっきりトーヤが自分のことを異性として認めてくれているのかと思い込んでいた所に、この仕打ちである。
自分のことをさっさと無視して床に寝っ転がるとは何事か。
少女はそのままトーヤの上にダイブした。
「わっ!」
「この───! 一緒に寝なさいって言ってるでしょっ!」
ジタバタとトーヤの上で少女が転がる。
「べ、別にボクは床の上でも大丈夫ですから……」
もう、すごい人なんだか幼稚な人なんだか、子供なんだか大人なんだか……。
「私と一緒に寝られないって言うの?」
トーヤに馬乗りになると、むーっと口をとがらせて、少女はトーヤの顔をのぞき込んだ。お互いの唇が触れるくらいまで二人の顔が接近する。
たぶん何を言っても、今の少女には通じないかもしれない。
でもそれは、彼女なりの愛情の表し方なのかもしれない。
「はいはい」
相手をするのも面倒になったトーヤは、起き上がった。
「もっと嬉しそうにしなさいよー、稀代の魔法使いが一緒に寝てやるって言ってんだから!」
そういう問題かなぁ……とトーヤは心の中でつぶやきながらもベッドに移動してみた。
なるほど、敷き布団も毛布も太陽の香りがほんのりとしみていて、心地よかった。
そして何よりも柔らかい。
少女がこのベッドで寝るように勧めた気持ちを少し理解して、トーヤは心の中で少女に謝った。
「えへへー!」
あとから入ってきた少女が、トーヤの胸元に顔を埋めて嬉しそうに笑った。
何が嬉しいのか……トーヤはちょっと解らなかったが、稀代の魔法使いがこういう笑顔をするというのは、実はいいことなのかもしれないと思った。
そしてこんな些細なことで、この小さな魔法使いが喜んでくれるのなら……とトーヤは思った。
以前少女は、世捨て人とか、人との関わりに愛想を尽かしたとか言っていた。
でも実は、そうでもないのかもしれないとトーヤは思うのだった。
だって自分のような弟子をとってくれたのだから。
トーヤはそう思うと、なんだか嬉しい気持ちがこみ上げていた。
「明日は、またお客さん、いっぱい来ますよ」
トーヤがささやくように少女に話しかける。
少女はもう寝てしまったかもしれない。
トーヤはさして答えを期待してはいなかった。
「じゃぁ断り方を、私が教えてあげる」
半分寝ぼけたような呂律のハッキリしない声。
「はい、お願いします」
でもトーヤはハッキリと少女にそうお願いした。
「うんうん……」
聞いているのか、聞いていないのか、少女の声はますます曖昧だった。
「おやすみなさい、先生」
最後は声に出さずに、トーヤはそっと心の中で少女に話しかけ……そしてゆっくりと目を閉じるのだった。

おだふじ

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大泉学園に行列の出来るケーキ屋というか洋菓子屋がある。名前を「おだふじ」と言って、ボクはその前をよく通るなぁくらいの印象だった。ただあまりにも行列がすごいので、いつかは行ってみたいなとは思っていた。ただボクの活動時間帯ではやってないので全然いけないでいたのだ。
が、ふと日曜日に昼間にでることができたので、寄ってみたのである。
写真を撮ることができなかったので、おだふじ自体のレビューは出来ないのだが、甘さがしつこくなく素朴な味のケーキだった。しかも値段がそんなに高くない。一つ 200 円台からある。けっこうバランスのいいケーキだなと思った。食べログだとこんな感じ
でね、おだふじってどっかで聞いたことあるなと思ったら、保谷駅の近くにもあるのよ。

そうそう、そういえば、おだふじだった。

親にその話をしたら、同じ店だという。えー!? ほんとかなぁ??
ってよくよく食べログの口コミを見てみたら、こんなことが書いてあった。

大泉の「パティスリーおだふじ」との関係を尋ねてみると、大泉のお店はなんと息子さんが独立して始めたお店でした。

おおー、関係あったのか!
というわけで、保谷のおだふじにも行ってみたくなった。
でも 19:00 で閉店かー。けっこう高齢のようだし、なんとかカステラを買いに行きたいなぁ。

写真は大泉の OZ の壁に貼ってあった微妙な萌えキャラのポスター。石神井警察のものだ。高校の漫研のイラストのようだ(笑)。
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BD-R

ウチには書き込みの出来る Blu-ray ドライブがあるのだが、DVD しか焼いたことがない。で、なんの気まぐれか、スピンドルの BD-R ディスクを買ってきた。1 枚 25GB ならバックアップ・メディアとして使い物になるかなーなんていう一時の気の迷い。いや、ホントに気の迷いでした(結論、早)。
25GB を焼くのにかかる時間は、20 分。
それよりも何よりも、テラバイトもあるものから 25GB ずつに小分けするのがめんどくさい。バックアップ・ツールでそういうのないかなって探したんだけど、あるにはあるが、どれも今ひとつ使いづらい。
そしてなによりも、今後更新されていくもののバックアップにはまったく向いていない。
使えるのはとっくに終わったプロジェクトのバックアップぐらいかなぁ。
1 プロジェクトの容量は 100GB ~ 500GB なので BD-R でもまだ現実的かなぁ。
分散バックアップにはもってこいかも知れない。HDD にバックアップはとっておくんだけど、BD-R にもとっておいてそれをバックアップ HDD のある場所とは違う場所に置いておけば、自宅が火事とかでなくなってもデータは残ってるみたいな。そういう運用なら有りかも知れない。

ただ BD-R の寿命は、DVD-R よりも短いとか聞いた(ぇ

作家を先生と呼ぶことに未だに抵抗があるヲレ

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これはボク自身がゲーム業界にいて常日頃思っていることなんだけど、今回、コミケを通して痛感したというか、うーむと思ってしまったので記事にしてみた。なぜだか知らないが、小説家や政治家、そして漫画家は「先生」と呼ぶことになっている。コミケなんかでも「○○先生描き下ろし」なんていう言葉が踊る。
だがボク自身、この使い方が非常に好きではない。
「先生」って誰に対して? ユーザに? それともボクに?
例えば、ボクが「漫画家を目指そう」と思い、誰かの漫画家に師事した場合、その漫画家はボクにとっては「先生」なので、その漫画家のことを「○○先生」と呼ぶと思う。けど、それ以外の場合、たとえばボクがその漫画家に仕事を頼むとき、ボクはその漫画家のことを「先生」とは呼ばない。書面とかでは「○○様」だし、会話では「○○さん」である。
だってその人は別に教師でもなければ、自分が師事する人でもないからだ。あくまでも仕事上の相手である。
ボクが作る立場ではなく、ユーザだった頃(高校生とか)も、作家や漫画家を先生と呼んだことはない。

ところが、小説家や政治家、そして漫画家(絵描き含む)には「先生」と呼ばれないと機嫌を損ねる人がいる。

なんじゃそりゃ! 以下略。

 

不二家レストラン

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さて、いつまでも日記で葬式だのなんだのって話題をやっていても仕方がないので、いつものモードに戻ります。今回は不二家レストランの話。今、ボクの中で、ファミリーレストランの再評価が始まっている。その辺りの話は、こちらにあるとおり。
それでもファミレスの限界というモノがあり、ステーキや新鮮さが必要なメニュー、そしてデザートがまだまだである。だがこれらもどんどん克服していくのだろう。

デザートが美味しいとボクが考えているファミレスが、ロイヤルホストである。
で、不二家レストランはもともと洋菓子の会社であるからして、とうぜんデザートが美味しいかというと、どうも不二家のケーキは美味しくない。特に生クリームが美味しくない。そこで今回、どこが良くないのか確かめるためにやってきたのである。

で、不二家レストラン。実は食事はけっこう美味しい。
ファミレスの中ではボクは好きな方だったりする。
むかしスッゲー不味かったんだけどね(マテ。
味も濃すぎず、いいバランスだと思う。
だがケーキがどうしても美味しくなかった。いつも夜中に行くからかもしれないが、生クリームが固くて、凄くバターっぽい味がするのだ。なんていうんだろうね、脂を食べているような感じ?

ところが今回は、そこまでひどくなかった。
生クリームがちゃんと軽くて、比較的ふわっとしていた。比較的と表現したのは、やっぱりなんかちょっと固くて、後味がどうしてもバターっぽい感じは残っていたからだ。でもスポンジが柔らかくて、生クリームのダメな部分をうまく吸収していた。
というわけで不二家、ロイホに次いで好きになりそうです(ぉ

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あっさりしたもんだ

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朝、父の家に行って、遺体を小手指のメモリアル・ホールへ。そこで納棺。花をたくさん入れた。そして、午後に飯能の火葬場で火葬。火葬には 1 時間 30 分ほど。あっけなく、父は真っ白な骨だけとなってしまった。お骨は一部だけなのかとおもったら全身を骨壺に入れていて驚いた。ボクの経験では全身入れたのは初めてだ。
あとで周囲に聞いたら、全身入れることはそんなに珍しいことではないとのこと。
関東と関西で違うのかな?

なんだかんだで、15 時頃には遺影とお骨がもとの家に戻ってきた。
あっさりしたもんだなぁ、と感じた。
人の死はもっとねちっこくて、長くて、そして不可侵なんてことを思っていたが、実際に肉親として関わってみると、あっさりしたものだった。愛媛の叔父はこのような葬儀のやり方に大変ご立腹であったが、ボクはこれぐらいがちょうど良いと思った。葬式をあげることなど残った者のためにやるようなものであり、死んだ人間には何の意味もない。
ただ納棺し、ただ焼き、そして墓に納めるなりなんなりすればよいのである。もし本当に魂とやらがあるのなら、とっくにその遺体にはないのだから。

ただ、墓は好きだ。父の墓は建てようと思う。そこにその人がいたことの証拠として。
その身は滅びようとも、かつてその人はいたのだから。
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人の死後のこと

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今回は小説をお休みして、人の死後のいろいろな話。たぶん今は高齢化社会でこういった話題には事欠かないと思うのだけれど、うちのサイトを見に来ている人でけっこう若い人もいるので敢て書いてみた。なんとなく、人が死ぬとそういう運びになるんだとぼんやりと頭に入れておいてもらえると。

まず埋葬までの流れは、死亡届→火葬許可証→埋葬許可証という順序がある。火葬するのに許可証がいるとは知らなかった。死んだら勝手に燃やせというワケではないのだな(笑)。そして埋葬にも許可証がいるのだな。この辺、個人的にはまどろっこしいと感じたが、殺人・死体委棄などの問題も考えると必要なのであろう。
葬儀屋の話によればおおむねこれらの手続きは遺族がおこなうのが良いのだが、しかしながら死後翌日とかにおこなうことなので、遺族では精神的に耐えられない場合も多く、葬儀屋が代行してやる(委任状を葬儀屋に渡す)ことがほとんどとのこと。
死んだその日のうちに葬儀屋が葬儀の場所、火葬の場所まで抑えてくれる。さすがである。

他に遺産の問題が出てくる。うちの父の場合これまた面倒くさい。というのもオヤジは愛人をつくって、母とは離婚し、出て行ってしまった。オヤジとしてはどうやらその愛人と、そして実子であるボクと弟に遺産を残したいようで、また別荘や車なども含め、どうするこうするという遺書を残しているらしい。
遺書は手書きじゃないと行けないというのも、はじめて知った。
話がややこしいのが、その愛人とオヤジは結局籍を入れてないらしい。
遺言書しだいでその辺はどうでもなりそうだし、事実婚であれば実際の妻と同じような扱いを受けると聞いたことはあるが、遺言書に不備があって無効になるといろいろと面倒そうだ。ボク自身は遺産に興味はないので独り身になるその愛人のものになっても良いのだが、父方の親戚一同からはさらに細かいことを言われており、一筋縄ではいかなそうだ。
さらにさらにもう一つボクの思う問題事が有り、それは父が離婚した際、母には一切慰謝料を払っていないことだった。母は年金生活者で有り、決して経済的にも余裕があるわけではないので、ボクが受け取れるようなことがあればそれをそのままそっくり母に渡したいと考えている。まぁそんな色々な思惑があって、あぁ、欲がなくてもけっきょく遺産はややこしいことになりそうだと頭を悩ませている。
これで遺族が欲深い人間ばかりだったら、そりゃ人間関係がドロドロになったり、金額によっては謀殺とかにまで発展してもおかしくないなぁと実感した(笑)。
難しいのはボクが「母のために渡したいので」とか言ったところで、それは「建前」や「いいわけ」としか相手には捉えられないのではないかという思いである。そう思われると向こうは「なんだやっぱり欲しいんじゃん」となり、心に壁を作られ、問題解決を難しくしていく……。
なので遺産の問題はなんだか面倒なことになりそうだ。あぁもう。

火葬は翌日の 15 日と決まった。
遺体は父の家に持ち帰り、火葬までドライアイスで冷やしておく。
面白いのが、父は良く口を開けて寝ていたのだが、それがクセになっているのか、遺体はなんど口を閉めてもそのうちまた開いてしまった。そもそも死体はそういうものなのか、それとも本当に父のクセなのかは解らないが。
そして死に化粧をしてもらい、穏やかな表情にしてもらって(もともと表情は穏やかだった)、これで火葬を待つことになる。

父は生前から「葬式はするな」「墓は作るな」「灰は別荘にばらまけ」と言っていたので、特に宗教的なお葬式はせず、単純に納棺と火葬のみおこなうこととなった。灰をばらまくのはおそらく無理であろう(死体委棄?)。墓は申し訳ないが建てるつもりである。というのも父方の家族からは勘当されているため(愛人事件で)、父方の代々の墓に入れないのだ。
葬式はしないというのは、なんとか守られそうだ。

葬式をしないというのはボクも憧れている。死んだらそのまま勝手に死体も消え去って欲しいのだが、そうも行かないので、自分の場合どうなるのやら。場合によっては母より先に死にそうだしなぁ。