Windows タブレットとエロゲ

久しぶりにエロゲに関わっているわけだが、まぁかなりタイトなスケジュールでスクリプトを担当している。んで、まぁ徹夜が続いたりして、頭もなんかだ上手く働かないなあ……みたいな感じで。
歳かなぁ。
Twitter によると三日徹夜らしい(笑い
ハンバーガー食いに言ってる場合じゃないじゃん(ぁ

それにしても徹夜が続いて身体が上手く動かせない事態ってのは初めてかもしれない。なんだろうね、起き上がることが出来ないというかナンというか……金縛りとも違うんだけどね。すっごい身体が重い感じ? とにかく眠らないように音楽を大音量でかけて作業した。
でも今回は Timepiece Ensemble のシナリオを入力してたときみたいに足がむくむということはなかった。あの頃は足がすげーむくんで、正座するとじわーっと足全体が圧迫されている感じがあったんだが(^^;
あと仮眠をとるときはもっぱら車の中で寝ている。いまの勤め先は横になれる場所がないんだよねー。なんかお影で車の中で快適に寝られるようになってしまって……よくない傾向だ。そんなことするためにミニバン買ったわけじゃ無いっつーの(^^;

でね、スクリプトしてて、デバッグにちょいと Windows タブレットに入れて走らせてみたのよ。
そこで気付いたのが、CTRL スキップが出来ない!
いやまぁ、当然なんだけどさ。キーボードないから。なので、画面上に押している間だけスキップするボタンが今後は必要かなぁと思った。あとボタン類もタブレットというか指で押すのに耐えられるように大きめのボタンにした方がいいかもしれないなぁ……。

エロゲのヒロインの口調が気に入らない

(関連記事:正しい日本語を使う必要はあるか!?
ふと Youtube を徘徊していたら、以下の様な動画を見付けた。いや、どうやって見付けたんだったか……ひょっとしたら Twitter で流れてきたのかもしれない。
いわゆる「ギャル語」で昔話を語るというもので、ボク個人的には非常に勉強になった。とはいえ勉強したところで、これらは刻一刻と変わっていくので、勉強する意味もあまりないだろう。

https://www.youtube.com/watch?v=32UbQ-pX4f4

ボクが常々思っていることに、エロゲの女性キャラって本物っぽくないよなってのがあって、それは主に口調に表れている。普通、女子高生はあんな丁寧に喋らないし、そもそもため口だと男とそんなに変わらないし、↑の動画ほどひどくなくてもギャル語は少し混ざるしで、エロゲと現実の女子高校生は全然話し方が違う。

まぁとはいえ、現実の女子高生をユーザは欲しているわけではない。
それは理解している。

また声優が間違った日本語を訂正してしまうのも、ボクは問題に感じている。
女子高生が正しい日本語を喋られるわけはなく、そこは「らぬき言葉」や様々な日本語の誤用をするはずで、それはそのまま喋って欲しいんだよね。声優さんたちはこういった間違いに気付くと直してくるし、音響監督は正しい発音なんかにも凄い気を遣って、指摘したりしてくる。
いやー、会話なんて何度も同じことを言うし、聞き返したら辻褄があってなかったりするし、日本語はめちゃくちゃなんだから、むしろその場のノリと勢いでだ喋ってもらった方が本物らしい会話になるんじゃないかって、ってボクは思うんだけどね。
別に国語の教科書じゃねーんだから。
でもそれを言い出すと、そもそも別録りって段階で自然な会話にはならないけどね(アニメでは会話シーンはスタジオに全員が入って録音する(その場で会話のキャッチボールをする)が、エロゲでは一人一人別々に録音する)。

まぁそんなわけで、一度、本当に女子高生みたいなキャラを書いてみたいなぁ。
ただ、ボクにそれが技術的に出来るかどうかって問題もあるけど(^^;

Photoshop のおかしな挙動

久しぶりにエロゲに関わることになったのだが、立ち絵を生成することになった。この立ち絵というのが、他のメーカーさんはどうしているのか知らないが、容量が増加傾向に有り、PSD ファイルでも 2GB を越えるような状況になってきた。
で、会社の開発機は Photoshop CC が入っていて、メモリは 16GB だった。
まぁ、メモリ 16GB もあるなら余裕だろうとかおもったら、これが全然動かない。スワップしに行ったまま、帰って来ない
なんじゃこりゃー!?
で、メモリの使用量を見てみると、これが半分くらいしか使われてない。
とにかくひたすら HDD(仮想メモリ)に書き込む。
いや、まだ 8GB 余ってるんだからそっち使えよ。

Photoshop のメモリ使用量とかいじっても挙動変わらず。さらに Photoshop が仮想記憶を作れないように色々と設定してみたが、ダメだった。

で、家に帰って作業の続きをしようと思い、立ち絵データを読み込んでみたが、これがまたすんなり動く。ちなみに家のマシンはまだ Photoshop CS4。と言うのも家のマシンはまだ Windows 7 なんだけど、Windows 8.1 にしようと思っていて、その時にアプリも全部新しくしようと思っていたのだが、なかなか Windows 8.1 にする気力も暇もなく、ずるずると何年も経ってしまっている。

今のところ結論からして Photoshop CC のメモリ管理が何か変わったのかなと。ただ自宅の開発機のメモリは 24GB、会社の開発機のメモリは 16GB という 8GB の差はあるんだけどね。

放出品ってそんなに沢山は出ないよね……

以下のようなニュースを見た。マニアにはなかなかたまらない一品じゃなかろうか?

こういうのって時々見るんだけど、おおっぴらにやってるのはあまり見ない。座席だけと言わず、酸素マスクとか、非常扉のコックとか、シートベルトをお閉めくださいのパネルとか、コックピットの計器の一部とか(メーターとか?)、マニアがほしがりそうなものは沢山ありそうなのにね。
解体費用がまかなえるぐらい、売上げが立つんじゃないかしら?

どうせスクラップになるのなら、の話だけど。

航空機の場合、おおっぴらに売らない理由はいくつか思い浮かぶけど(再利用率が高いとか、痛み方の研究に役立つとか、まだ機密なところがあるとか)、飛行機に限らず、電車や車、船、クレーンなどの重機などなど、スクラップになるもののウチ、形として取っておけるものはもっとオークションとかしたらいいんじゃないかなぁ?

というのもね、エロゲ会社でもけっこういろんなものが処分されるのよ。例えば色校。印刷会社から「こんな色で上がってきます」ってサンプルがあがってくるのね。こういうの、結局プロジェクトが終わったら捨てちゃう。
抱き枕カバーの色校なんかは本物の生地に印刷されたものを持ってくる(抱き枕カバーのように閉じられておらず、裏と表が一枚の布になってるけど)。
他にも台本。これもみかん段ボール箱に何箱もあるんだけど、全部捨てる。
あとは社員のみんなで話し合ったキャラデザの紙とか。色んなキャラデザや色が載せてあって、あーでもないこーでもないとやったもの。
失敗したグッズ類(色が間違えていたり、傷がついていたり)。
落丁本。
CG さんや原画家さんの落書き。
余ったグッズ類。

まー、他にも色々。数年もエロゲ会社やってると、こういうので倉庫がいっぱいになってしまい、結局捨てる。

でもどうせ捨てるなら、発売して 1 年経ったものとかはユーザさんにあげたりプレゼントしたりしていいんじゃないかなぁと思う。もちろん、ユーザさんが欲しがるのかどうかはボクも解らないけど……ムリヤリあげるんじゃなくて、欲しい人をサイトやイベントで募れば欲しい人はいるんじゃないかなぁ?

どれくらい増えたか、測ってみた

5/23 にプロジェクト用の HDD を増設したわけだが、この HDD は 4TB x 2 のミラーリングとして使われていた。つまり容量は、4TB である。この 4TB x 2 は 2012 年の 10 月に設置された。つまり、4TB はエロゲ開発において一年半もったわけだ。
まぁ、ウチのブランドは DVD 目一杯使うソフトは 1 本しか作ったことはなく、だいたい 2GB くらいである。よそ様のように DVD 何枚組とかそう言うのを作っているわけではないので、比較的データ量は小さい方だと予想している。せっかくなので、果たして開発データというのは大きくなっているのかどうか、絵だけであるが実際に調べて見た。

まずボクが初めて 720p(1280 x 720 ドット)のゲームを作ったのは「翼をください」という作品である。これのイベント CG と立ち絵(バストショット)の 1 ファイルあたりの平均値は以下の通りだった。

  • イベント -> 85.3MiB(最大ファイル:582MiB/最小ファイル:37MiB)
  • 立ち絵 -> 200.7MiB(最大ファイル:542MiB/最小ファイル:34MiB)

計算方法は、すべてのイベント CG の容量を単純にファイル数で割ったものである。立ち絵も同じやり方だ。
その次に作った 720p の作品は、まぁいろいろあるんだけど、ボクが直接関わったのは 1/2 summer なのでそのデータ量を調べて見た。

  • イベント -> 94.6MiB(最大ファイル:246MiB/最小ファイル:43.1MiB)
  • 立ち絵 -> 640.9MiB(最大ファイル:1.01GiB/最小ファイル:59.2MiB)

イベント CG は微増、立ち絵は 3 倍以上に膨らんでいる。これは服装の種類の多さも関係してくる。1/2 summer  は私服と制服以外にも旅館の仲居服や水着、弓道着など翼をくださいに較べて差分が多い。というわけで、Timepiece Ensemble に至るまでのすべてを表にしてみた。

作品名 発売年 イベント CG 立ち絵 CG
翼をください 2010.02  85.3MiB  200.7MiB
1/2 summer 2012.06  94.6MiB  640.9MiB
1/2 summer+ 2013.07  221.3MiB  660.6MiB
Timepiece Ensemble 2013.12  379.8MiB  995.7MiB

同じ 720p 作品なのに確実にデータは増えている(笑)。特に立ち絵の増え方が尋常じゃない。興味深いのが、1/2 summer よりも Timepiece Ensemble の方が服装差分は減っているにもかかわらず、容量は増えていることである。ちなみに彩色サイズは、イベント CG に関しては 4 作品ともすべて同じである(3200 x 2000 ドット)。立ち絵は、翼をくださいが少し小さく、残りの 3 作品は A4 400dpi というサイズで作っているので、実は単純比較はしてはいけなかったりするが……。

容量が増えた一番大きな理由は CG の塗り方が日に日に贅沢になっていると言うことだと思われる。メモリが飛躍的に大きくなったので Photoshop のレイヤー数が大幅に増加している。翼をくださいの一番大きな立ち絵データのレイヤー数が 386 枚なのに対して、Timepiece Ensemble の一番大きな立ち絵データ(1.8GiB もある)は 1076 枚だった。
しかし当面、PC のメモリは 32GiB で打ち止めなので(高いヤツは、64GiB とか、Xeon とかつかえばもっと行くけど)、とりあえずこの辺でいったん止まってくれるといいなぁ、とサーバ管理者からは願うのだけれど……そうもイカないのだろうなぁ。

そんなワケで、増えてて当たり前じゃんという話ではあるかもしれないが、こうして具体的に数字に表してみたのは初めてなので、ちょっと面白かった。

音ネタメモ

日記のネタが 4/16 までないので、Timepiece Ensemble の BGM の元ネタ暴露。
今回は 1/2 summer と毛色が似ていると言うことで、曲ジャンルは 1/2 summer と同じ HOUSE 基調なんだけど、もっとハウス色を強めた。四打バンザイ! でも主題歌はテクノなのよね(汗)。
Track は Timepiece Ensemble サウンドトラック CD の番号。

Track 曲名 参考曲
1 Piece of Time ファッションモンスター / きゃりーぱみゅぱみゅ
2 Happy Rising Breeze / 元気ロケッツ
3 Square Wave Festa pollyanna / 坂本龍一
4 coocky-coo doze Sign of Tomorrow / Jazztronik
5 The Morning Kettle Touch me / 元気ロケッツ
6 Second Hand’s Walking Heavenly Star / 元気ロケッツ
7 Sunny Spot Running Dreaming across stars / 元気ロケッツ
8 Diamond Dust HOME feat.COLDFEET / DAISHI DANCE
9 Tipsy Lips Beauty-Flow(Main Mix)feat. Sonomi Tameoka / Jazztronik
10 Night Swallowtail Batterfly Dance / Jazztronik
11 One-eyed Owl opym / over rocket
12 Nocturne Op.9 Nr.2 in Es-dur Op.9 Nr.2 in Es-dur – Andante / Chopin
13 Silhouette on the Heart Ave Maria / 寺井尚子
14 Girl Meets Ghost littlestar Feat. May J / Floor on the Intelligence
15 We are alone Flow / 元気ロケッツ
16 Long Good-bye star baby (GTS HOUSE NATION Remix) / SUGIURUMN
17 Glance Under the same sky / K.
18 Welcome to Cafe Bergamot ! Fly 2000 / 鷺巣詩郎
19 Huygens Logics ORANGE IRIDIUM / Tokyo Zawinul Bach
20 Dream of Chronometer Love Theme From ’Spartacus’ (quasimode remix)
21 Piano Sonata L118 Piano Sonata in F-minor L118 / Scarlatti
22 モノクローム STRAWBERRY RAINBOW feat. RAJ RAMAYYA / Studio Aparment

全体的に「元気ロケッツ」の楽曲が目立つ(^^;
今回、ハウスの楽曲は 2, 5, 6, 7, 8, 14, 16, 22 の 8 曲、Jazz が 2 曲、クラシックが 2 曲入っている。坂本龍一の pollyanna は元々はファミコンの Mother の曲である。またここにはないが、1/2 summer のギャグ用 BGM が 7 曲使われている。ただこのギャグ用の曲は 1/2 summer 用というよりは、ボクが大川さんに作ってもらった汎用 BGM なので、実は色んなところで使われていたりする(汗)。
各曲は、ヴォーカル曲をのぞいてすべてループ有りの曲になっている。また BGM はコンプをかけていない。なので、ゲーム中ではかなり自然な音圧として表現出来ているはずである。ちなみにサントラ CD ではヴォーカル曲との音量を合わせるために、BGM にもコンプがかけてある。ので、ゲームそのものの音はゲームでしか楽しめないようになっている。これはコンプにより音場が中心に固まってしまい、音声が BGM に埋没しないようにするためというのと、ボクが頭が固いせいか未だにコンプがあまり好きではないためである。
あと余談だが、大川さんから納品された音のデータは 96KHz の 24bit で、それをリサンプルしてあるのだが、そろそろゲームでもこのクオリティで収録したいなぁ、なんてことを考えている。

もし原曲を気に入ってくれたら、そのアーティストの CD を買ってもらえれば、幸いである。もちろん、Timepiece Ensemble のサウンドトラックもぜひ! と思ったら、まだ通販始まってなかった……orz

発達すると理解を簡単にする必要がある?

以前、音楽の多様性が失われていることに関して、コラムを書いた。様々なものが複雑化していく中で、どうして音楽が単純化していくのかということについて触れたものだ。しかしそれは音楽だけに限らないのではないかと、ふと思ったのだ。そのきっかけは、江戸時代の手品『手妻』というものを見たときだ。

なかなか示唆に富んでいて、これを一度見ただけで、最初の解説の通りのことを理解出来るかというと、ボクはその自信がない。そこでふと思い出したのが、ラヴェルのコンサートである。ラヴェルは和音の魔術師と言われ、今まで禁忌とされてきた不協和音を惜しげもなく取り入れた作曲家である。このラヴェルのなんのコンサートだったか忘れてしまったが、聴衆がそのラヴェルの曲を聴いたとき、不協和音の多さに不評だったという話を思い出したのだ。
はて、今の人たちは不協和音などをちゃんと理解して聞いているだろうか、と。

要するに何が言いたいかというと、昔のエンターテイメントってけっこう難しかったんじゃないかってこと。聞く方に教養が求められ、音楽であれば作曲家自身のこと、各楽器の演奏技法、そして楽典などの音楽的理論を理解しないと、その音楽のどこが素晴らしいのか理解するのは難しい。
それは文学にも言え、たとえば娯楽小説であるところの藤沢周平の時代劇とか、今読むとこれがなかなか行間に込められた情報量が多すぎて、難しい。もっと簡単な例で言うと、ヴァンパイアハンター Dキマイラなんかはボクの中では「ラノベ」なのだが、おそらく今のラノベを読んでいる人たちにとって、この二作品は「難しい」作品なのではないか、と。

そういう意味においてボクの書く文章というのも、もうすでに今の人には「難しい」のかな、と思い始めている。まぁそれはここ 10 年くらい感じ続けているのだけれど、売れている作品をみると「くどい」「同じことを何度も説明する」「譬喩や揶揄をさけ、直接説明する」「ストレートな話し言葉」というのを見て取れる。
逆にボクの文章は「本音を包み隠し」「会話やキャラには間があり」「表現を湾曲する」など、明らかに「わかりにくい」表現方法をとっている。さらにもう一つは「物事を明らかにしない」というのもボクのスタンスである。世の中の様々な物事というのは、様々なものが絡み合い、進んで行く。そこには「正解」はなく、「原因と結果」もそれこそ様々なものが絡み合っていて、本質を見極めるのは難しい。だから何かの物語を書いて何かの結果に至ったとしても、それが「○○だったから」という書き方は絶対にしない。「○○だったかもしれないし、○△だったかもしれないし、××だったかもしれない」というような、おそらく読み手に関してはスッキリしない終わり方をさせる。ボクはそれこそが面白いというか、自分であれこれ考えて自分の都合のいい原因をこじつけてくれて構わないのだが、どうにもそれはあまり許されないらしい。

さて、どうすべきか?
おそらくボクは古い人間だ。今のストレートな表現に改めるべきか?
それとも、今まで通り湾曲した表現を続けていくべきか?
今のオタクでも婉曲した表現が好きな人がいたら、嬉しいんだけどねぇ……<他力本願

まぁ、湾曲した表現は続けていこうと思う。それをエンターテイメントに求めている人は絶対にどこかにいると思っている。ストレートで明瞭快活な作品はこれからもどんどん出続けるだろう。だからうさんくさくて、パッと読んでもよく解らなくて、原因と結果が多すぎる少数の作品として生き残る場所を探していきたいと、今のところは思っている(ぁ