12/15 に「黒子のバスケ」の脅迫犯が捕まった。この事件自体、どうしてなかなか捕まらないのだろうとか、警察はオタク案件だから手を抜いているんじゃないかとか思ったこともあったが、下の記事を読む限りは地道な努力を続けていたようだ。
この記事の中から、いろいろと警察の捜査手法というのが解って面白い。もっとも憶測の域は出ないが…… やはり警察が足をつかみづらかったのが、関西の人間がわざわざ東京に来て脅迫状を出していたことなのであろう。そしてこれは大方の犯罪がそうなのだが、同じ場所で投函したのが、充分な手がかりになってしまっている。
実は多くの犯罪が、この「同じ場所」というのがけっこう、逮捕のきっかけになる。人間どうしても「初めての場所」という所は避けてしまうようで、潜伏先や逃亡先というのはどうしてもかつて暮らしていた場所や遊んでいた場所など、犯人にとって馴染みの場所であることが多い。
また犯罪を犯す場所も、同じく慣れた場所でくり返してしまい、逮捕されてしまうことが多い。
それよりもボクが驚いたのが、サーバのログをしっかり調べたところである。 HTTP のログというのは、サイトによっては 1 日で何十 GB にも及ぶことがある。それをつぶさにすべて調べ上げたというのだから恐れ入る。やはりログというのは重要な手がかりになるというのがこれでよく解った。
これに関連して最近ボクは「現金」というものを見直しつつある。 ボクはカードや電子マネーを使うことが多いのだが、しかし、これはやはりどうしても個人の追跡がしやすくなってしまう。
たとえばボクが秋葉原の駐車場代をカードで支払い、その後大阪に行ってその高速代もカードで支払ったとする。
するとカード会社には、その日、ボクが東京から大阪に行ったことが解ってしまう。
これが現金で精算していれば、誰がその駐車場と高速を利用したかは解りにくくなる。それでも、コインパーキングには監視カメラがつきものだし、高速道路は N システムや料金所にナンバーを控えるシステムが存在している。しかし、ボクが秋葉原にいたことは、コインパーキングの管理会社しか知らないし、大阪に行ったことは NEXCO しか知らない。しかしカードで精算すると、コインパーキングの管理会社と、NEXCO と、さらにカード会社にも知られてしまうことになる。
これは Edy などを使った場合でも同じである。
例えば、カードや電子マネーの ID を複数持つという解決方法もある。が、使い分けするのを忘れてしまうというリスクもある。
現金ですべて支払っていれば、ボクがどこでお金を支払ったかは解らない。
しかしこれもまた一つ罠があって、それは ATM。ボクが秋葉原のコインパーキングを現金で精算し、その後、大阪へ。大阪の料金所でも現金で精算し、財布の金がなくなったので大阪のコンビニでお金を下ろした。となると、銀行にはこの日、ボクが大阪に行ったことが解ってしまうわけだ。
何が言いたいか?
それは昨今の世界中の政府の動きである。
コンピュータが国に関わりなく相互接続するようになり、またさらに情報を収集する装置(監視カメラや POS システム、ATM、カード会社の情報などなど)が熟成していく中、政府はより個人を束縛する方に動いている。 様々な情報から個人を特定し、その人の毎日の動きを比較的つかみやすくなった。 そのおかげで、さらにボクらを監視しようとしている。
もちろんその気持ちは分かる。人間など信用できないというわけである。それはなにも国民だけでなく、政府側の人間も含めてである。だから、目が届くなら、そこに目を置こうとしている。 為政者が「こういうことができると、統治しやすいんだが」と思うようなかつては夢だったようなことが、どんどんと現実になってきてしまっている。
ボクは科学が発達したら、それによって様々な知見が世界中に広まっていき、人々が民族や過去のことを乗り越え、もっと自由で、行き来に制限もなく、どこに住んでもいいし、どんな職業についてもいい世界が来ると思っていた。 だが、現状は逆だ。情報技術が発達するにしたがって、どんどんとボクは閉塞感を味わい始めている。 せっかくの素晴らしいコンピュータが、自由を束縛する方に動いている。今の時代、それでいいのか……ボクはとても悲しく感じているのである。